こだわりの賃貸住宅に迫る

土地活用賃貸住宅

こだわりの賃貸住宅に迫る 高い防音性能で楽器演奏対応からエンタメ賃貸へ 

 ツナガルデザイン(東京都目黒区)は、独自の特許技術により音楽スタジオを超える防音性能のマンション「サウンドプルーフ」シリーズを展開している。これまで22棟を供給。周辺の家賃よりも2、3割高く貸せる同社の賃貸住宅の強みについて大塚五郎右エ門社長に話を聞いた。

ツナガルデザイン(東京都目黒区)大塚五郎右エ門社長(52)

■プロフィール
1971年12月8日、東京都生まれ。鎌倉時代から続く東京都大田区の旧家・大塚家27代目。700年以上にわたり代々名前を襲名。英国国立ウェールズ大学経営大学院にてMBAを取得。2014年にツナガルデザインを設立。一級建築士、宅地建物取引士。自身も音楽活動を趣味としている。

周辺より家賃2、3割高く満室

 ツナガルデザインは、防音マンションに特化したマンションディベロッパーだ。防音マンション事業を開始したのは、ツナガルデザインを設立前の2010年。当初はグループ会社のツナガルホールディングスの所有地に建築していたが、ツナガルデザインを14年に設立してからは、防音マンションの新築一棟販売に注力している。

 これまで22棟を供給し、そのうち17棟を販売。物件価格は2年前までは4億〜6億円、最近は5億〜10億円だという。現在は22棟236戸を管理。家賃は周辺相場と比較して、2~3割高く募集しても満室を実現。しかも、退去が発生すると家賃を上げて募集しているが、すぐに次の入居者が決まる。入居待ちリストも1200人を超える。

 「当社の強みは、特許取得工法による世界最高水準での集合住宅の防音と防振技術にあります」。こう大塚社長が語るように、同社では建物の構造などに関連して7件の特許を取得している。

 例えば、「三重防音構造®」と「メガフレーム完全防音構造」のそれぞれの特許技術を採用したことにより、バンド演奏音やダンス床重量衝撃音の完全防音レベルを実現している。集合住宅の全戸で生ドラムを含むバンド演奏や床に衝撃を加えるダンスが可能となった。

 では、なぜ防音マンションが周辺相場よりも高く貸せるのか。その理由は、楽器演奏などの練習時間が長い人ほど、スタジオ代わりに防音マンションを借りるメリットが大きくなるからだという。自宅で周りを気にせずにいつでも練習ができるうえに、コストを抑えられる同社の防音マンションを選ぶのだ。 なお、同社の防音マンションには音楽を目的に入居する人が全体の57%を占める。

▲全戸でドラムの演奏が可能な三重防音構造の「サウンドプルーフプロ」

全戸シアタールーム付き竣工

 防音マンション事業を始めたきっかけは住宅エコポイント制度。一級建築士でもある大塚社長は、「断熱性能を高めるための二重サッシを設置すると、防音効果も高められることに気づいたんです」と当時を振り返る。こうして第1号となる二重防音構造の「サウンドプルーフ蒲田イースト」が11年に誕生した。

 以後、より防音性能を高めて、ドラム演奏も可能な三重防音構造「サウンドプルーフプロ」、さらに進化させた防音防振技術と音響技術を掛け合わせた防音シアタールーム付き賃貸「シアターマンション®」へと発展させている。

 拡大を続ける「NETFLIX(ネットフリックス)」をはじめとする動画配信サービス市場に着目したのだ。シアターマンションの第1号は24年2月に竣工した「サウンドプルーフシアター学芸大学」だ。全戸に大画面110インチ電動昇降スクリーン、4K対応高画質プロジェクター、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)対応360度立体音響装置、無料の1Gbpsインターネット回線が標準装備されているため、映画館のような迫力ある映像・音響体験が音漏れを気にせずに思いっきり楽しめる。

 またスマートフォンで調光・調色可能な照明システムを採用しており、気分や視聴内容に合わせて最適な照明を設定することが可能だ。音楽を趣味とする人に限らない多様なライフスタイルに対応できる。

 「集合住宅でできることの可能性を広げる『エンターテインメントマンション』の社会的な必要性はますます高まっていくと考えています。他人に音や振動といった迷惑を一切かけないような、新しいライフスタイルを提案していきたい」こう話す大塚社長は、26年にTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)への上場を目指す。

▲全戸シアタールーム付き防音マンション「サウンドプルーフシアター学芸大学」の一室

(2024年5月号掲載)

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