- HOME
- 賃貸経営
- リフォーム・リノベーション
- 築45年の細長ビルをリノベ
※この記事は地主と家主(旧家主と地主)2023年11月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
<<Regeneration ~建物再生物語~>>
築45年の細長ビルをリノベ
複数区画に分け、1階は側面も入り口に
室町シュトラッセ
北九州市の中心部、小倉の繁華街の一角にある「室町シュトラッセ」は、飲食店やオフィスなどが入る3階建ての複合ビル。2016年、築45年の同ビルを地元の1級建築士でタムタムデザイン(北九州市)代表取締役の田村晟一朗氏が、同氏とオーナー負担と合わせて約2000万円でリノベーションした。

▲リノベを手がけた田村晟一朗氏

▲リノベ後、一部テナントが新しくなった現在の室町シュトラッセ。シュトラッセは「通り」を意味するドイツ語に由来する。ビル前が江戸時代からの長崎街道であるため、「通りからにぎわいを」という願いを込めた
元々は雑居ビルだが、JR鹿児島本線西小倉駅のそばで官公庁や大学にも近い好立地ながら、1階は3年間、2階と3階は5年間空いていた。理由は区画自体の使い勝手の悪さだ。各フロア1区画で広さは約132㎡、間口5mに対して奥行き25mの「うなぎの寝床」だった。近所に拠点を持ち、新しいことを始める場所を探していた田村氏は、2~3階をビルオーナーから借りて転貸することを決意。それと同時にオーナーと相談し、ビル全体の再生に取り組んだ。
- ▲After:リノベ後の外観。建物側面に1 階テナントの入り口を設け、ビルの顔が二つに
- ▲Before:リノベ前の外観。入り口は通りに面した一つだけだった
リノベにかけた期間は3カ月。最大の特徴は、通りから見えるビル1階の片側側面の外壁を開口し、テナントの入り口にしたこと。従来は直接通りに面した間口5mの入り口のみだったが、側面も入り口としたことで通りからの視認性が上がり、客が来店しやすくなった。鉄骨造のラーメン構造だったため実現できた。
- ▲1階テナントは通りからの視認性も高まっている(写真は23年7月)
- ▲開口工事で壊される側面外壁
また、各階とも、1区画あたり7~ 20坪の複数区画に分け、使い勝手をよくした。リノベ後、1階には美容室、カレー店、コーヒー店が入居。2階は現在3区画で、プログラミング会社、フェイシャルサロン、田村氏が経営するバーが入居する。3階はエステティックサロン、レンタル会議室、入居者同士の交流促進のためのラウンジで構成する。
ビル内にはほかにも交流できる仕掛けが施されている。例えば2階では、入居者同士がゆっくり会話を楽しめるように給湯スペースにカウンターを併設。廊下には地元写真家の作品が展示され、外部の人も含めて誰でも立ち寄れるギャラリーになっている。
- ▲3 階にある入居者向けの共有ラウンジ
- ▲2階給湯スペースに設けられたカウンター。廊下壁には地元写真家の作品 が飾られている
稼働率も高い。リノベ後、7年間で転貸フロアから3件のみ退去があったが、いずれも1カ月以内に次のテナントが決まり、現在も空き室はない。田村氏は、理由について「家賃は周辺相場と同程度だが、入居者は光熱費込みであることや、共有部分の特徴を評価してくれている。『居心地がいい』との声も多い」と語った。
(2026年9月号)

築45年の細長ビルをリノベ
ビジネスで解消する空き家問題 ―hakuworks
テナントの事業がうまくいく仕組み考え提案
築49年学生寮をシェアハウスに一新



