テレビ電話、簡単接続で家族を見守り
TQコネクト
人口の高齢化に伴い需要が増す見守りサービス。利用者の使い勝手に工夫が求められるなか、煩わしい機器の設定や操作を省いたのが、TQコネクト(東京都渋谷区)が提供する「TQタブレット」だ。表情を見ながらコミュニケーションが取れるテレビ電話の形式で、利用者の安心感も高める。
TQコネクト(東京都渋谷区)
江部宗一郎副社長(35)
通信機能付き端末提供
東急不動産ホールディングスグループのTQコネクト(東京都渋谷区)では、簡単にテレビ電話ができる「TQタブレット」で、離れて暮らす親とのコミュニケーションや見守りを実現する。
使用する機器は、8インチの画面を持つタブレット端末のみ。親子による利用シーンとして、親側にタブレット端末を設置。子どもが専用アプリ「TQアプリ」を通してスマートフォンからタブレットに発信すると、10秒後に自動的に通話が開始される。タブレット側の操作が必要ないことから「機器の扱い方がわからない」「着信に気付かない」などの心配がない。
写真付きのメッセージを送る機能もあり、電話をするまでもない時にも気軽に連絡できる。タブレットの利用履歴がわかる「みまもり機能」も搭載する。各種機能が使えるTQアプリは最大10人まで登録可能だ。
同社の調べによると、介護が必要な親がいる人のうち、64%がコミュニケーションに不安や不満を持つ。そこで、サービス利用の動機として「親の精神的な落ち込みや孤独感をやわらげたい」「双方の声が聞き取りづらく、声だけでのコミュニケーションが難しくなった」などを想定し、テレビ電話をベースにしたサービスを開発した。
見守りサービスの需要が高まる一方で、監視されている印象が強いカメラやセンサー、操作が難しいデジタル機器は、利用のハードルが高かった。TQタブレットは煩わしい操作を省き、端末に通信機能が備わっていることでインターネット環境を必要とせず、かつ監視の要素を無くした形で使用できるようにした。
利用料金は端末代が5万5000円、初期登録料として1万1000円。データ通信量に応じて月額4400円(料金はいずれも税込み)から利用プランを用意する。5月より販売を開始し、要介護の親を持つ一般家庭や介護施設を中心に月100台程度を販売している。
今後、高齢者の世帯数が増えていくなか賃貸住宅の入居者による利用も見込む。江部宗一郎副社長は「介護施設への入所に伴い自宅を売却するタイミングで導入するケースもあることから、不動産会社による代理販売の機会も増やしたい」と話す。企業へのOEM(相手先ブランドによる生産)提供や事業開発も行っていく。
▲表情を見ながら会話できるため、見守る側も安心だ
(2024年12月号掲載)
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