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築古アパートを改修したシェアハウス
女性の単身高齢者と外国人が共同生活
コモンフルール(Common Fleur)
大阪市住吉区。JR阪和線長居駅から徒歩6分ほどの住宅街の中にあるのは「コモンフルール(Common Fleur)」だ。不動産事業を手がける西都ハウジング(大阪市)が大阪市立大学(現大阪公立大学)の研究室、一般社団法人大正・港エリア空き家活用協議会(同)との共同プロジェクトとして1962年築の築古アパートを再生した。2021年6月に単身高齢者と外国人介護士向けに女性専用のシェアハウスとしてオープンし、現在は一般の外国人も受け入れている。
西都ハウジング (大阪市)
松尾重信氏(45)
1階は共用スペースと60歳以上向け居室が3室、2階は外国人向け居室が6室。キッチンや浴室、トイレは共用となっている。入居者同士は程よい距離感で関係を築いており、時折食事を共にする姿も見られる。
西都ハウジングは家族経営の地場の管理会社。19年に近隣のアパートを管理していた縁で、この築古アパートを持て余していた前オーナーから売却の打診を受けた。
当初は、解体して駐車場にする選択肢もあったが、使えるものなら何とか活用したいと考えたのだという。同社の松尾重信氏は「会社として管理事業以外にも事業展開をしたいと考えていた時でした。そこに物件活用の話が舞い込み、これはチャンスだと感じました」と話す。
発想の原点は、同時期に台風の被害に遭った高齢者が引っ越し先を探すのに苦労したのを目にしたこと。また、たまたま視察で訪れたカンボジアで、特定技能制度で来日する介護職の人が住む場所に困っているという情報を得たことだ。
別会社で同物件を購入後、使える躯体を残してスケルトンリノベーションを行った。もろくなっていた壁や床はほとんど取り除くほかなかったが、一部の柱は共用部に残り、当時の面影を伝えている。建築年しか情報がなかったことで設計士を探すのに難航。いざ工事が始まっても基礎の状況が悪く追加工事が発生した。「セーフティネット住宅」として登録するには、現行の耐震基準を満たす必要があったため、やむを得ない支出だった。
一方、19年の年末に国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」に選定されたため、工事費用の3分の2ほどを助成金で賄うことができた。「新型コロナウイルスの影響で満室になるまで時間が必要でしたが、かかった費用は7~8年で回収できそうです」(松尾氏)
▲共用の洗濯機や洗面所も整っている
「当初理想とした住まいを造ることはできました。ダイニングの大きな窓を開くと庭とつながり、地域の人と触れ合うことができます。もっとこうした部分を活用し、地域と関わるような活動をしていきたいです」と松尾氏は抱負を語った。 共用スペースでイベントを開催することもある Before 解体後に基礎部分の再工事を要した After 現行の耐震基準を満たし、セーフティネット住宅として登録した 築古アパートだった当時の柱を共用部に残した 共用の洗濯機や洗面所も整っている 2階には外国人向けの居室が並ぶ。
(2024年10月号掲載)
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