目指すは福島の不動産王 インカムを積み重ね資産を築く

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目指すは福島の不動産王 インカムを積み重ね資産を築く

わずか数年で210戸、年間家賃収入約1億円。福島県で事業を拡大してきた馬場生悦オーナー。地方の築古物件を高利回りで取得し、遠隔で自主管理する独自のスタイルを確立している。

馬場生悦オーナー

 

現在 : 年間家賃収入1億円

 馬場生悦オーナー(東京都世田谷区)は現在、一棟アパート16棟と戸建て6戸の計210戸を所有。福島県を中心としたドミナント戦略で賃貸経営を行っている。最初に購入した千葉県木更津市の物件と2棟目の大阪府の物件以外は、すべて福島県の会津若松市と郡山市にある。

 地方都市では家賃帯を高く設定できないにもかかわらず、所有戸数がものをいい、現在の年間家賃収入は約1億円。取引価格ベースで見た総資産は約7億円にも上る。
所有物件の多い馬場オーナーだが、その不動産オーナー歴は実は短い。1棟目を取得したのは2019年、馬場オーナーが29歳の時だった。さらに直近3年で一気に規模を拡大させたのだという。


 馬場オーナーが物件を取得する際に見るのは利回り。資産価値は重要視しない。そのため、所有物件は取得価格の安い築30~40年のものが中心となる。修繕が必要な場合はその費用も含めたうえで、表面利回りが20%以上となる物件を購入してきたという。

 「ハザードマップ上で危険とされていたり再建築不可だったりするものはさすがに買いませんが、表面上高利回りの物件には何らかの瑕疵(かし)はつきものです。その瑕疵が自分で解決できるものかどうかと、実質利回りの数字。私が取得の際に見るのはこの2点です」(馬場オーナー)

 馬場オーナーの不動産経営におけるこだわりは、転売益ではなくあくまで家賃収入で利益を伸ばすことだ。取得した物件を売ったことはないし、今後も売るつもりはない。

 「売却を織り交ぜて経営したほうが手元のお金が早く増えます。資本合理性が高いことは重々わかっているのです。しかし、一度購入した物件は朽ちるまで大切に所有していきたい。これは、不動産への所有欲です。自分の物件が増えていくことそのものがモチベーションになっています」(馬場オーナー)

 もう1つの馬場オーナーの経営の特徴が遠隔からの自主管理だ。所有物件の半分、100戸ほどは地元事業者への管理委託ではなく馬場オーナーが自ら管理をしている。

 馬場オーナーは東京に住んでいるのにどうして自主管理ができるのか。カギはドミナント戦略と地元事業者との関係づくりにある。水道、ガス、電気、設備など、それぞれのトラブルに対応してくれる事業者をあらかじめ探して依頼しておけば、何かあったときにすぐ対応してもらえるのだ。

 「毎日1~2件ほど入居者から何らかのメール連絡がありますが、そのうち修繕の必要があるものは3割程度です。内容に応じて私が各事業者に電話をし、作業を依頼しています。私自身が福島に行く頻度は週に1回程度ですが、管理面で困ったことは特にありません」(馬場オーナー)

 そうまでして遠隔で自主管理を行う理由は2つある。

 1つは、管理手数料分の収益を手元に残せること。

 そしてもう1つが、管理会社を通すと聞くことができない物件の真の姿を知ることが可能な点だ。

 「管理会社は、あえて物件のマイナスポイントをオーナーに言わなかったり、入居者からのクレームを伝えなかったりすることがあります。でもそれだとオーナーは実際よりもいい物件だと感じてしまう。不動産経営を学ぶうえで、本当の姿を知る機会は私にとって貴重なものでした。入居者の声に応じて改善することができますから」(馬場オーナー)

 こうやって、地方×利回り×自主管理で資産を増やしてきた馬場オーナー。だがもともと預貯金があったわけでも、親からの援助があったわけでもない。ただ普通のサラリーマンだったにもかかわらず事業を始め、成長させることができたのである。

▲表面利回りにこだわり購入したサブリースアパート

過去 : ①オーナーを志す

 そもそも不動産投資に興味を持ったのは20代半ばの頃だった。大手監査法人勤務時代、とある海外富裕層の決算書を目にする機会があった。その際に不動産の魅力に気付いたのだという。その富裕層の不動産収入は、それだけで馬場オーナーの年収よりはるかに高かったのだ。

 もちろん、会社で昇進すれば給与は上がる。大手法人ゆえ年収数千万円も夢ではなかった。だが、優秀な同期に囲まれている職場環境を考えれば、高収入を得られるポジションに上り詰めることは難しいとも感じていた。

 「富裕層の人ほど不動産を持っているものだと気付きました。自分の場合は、会社で出世するより資産を持つことに集中したほうがいいのではないかと思ったのです」(馬場オーナー)

 富裕層の実態を見たことで不動産の魅力に気付いた馬場オーナーは、早速「不動産オーナーへの道」を歩むことにした。

 

失敗に学ぶ

レバレッジが成長のカギ

 1棟目を日本政策金融公庫からの融資で取得した馬場オーナー。しかし、2棟目の購入資金を相談した際は、追加融資を受けられなかった。
 「融資が下りなければ現金で買えばいい」。そう思った馬場オーナーは2棟目を現金でまかなった。300万円で築古戸建てを取得。だが、思わぬ修繕費がかかった。その額80万円。予定より多くの現金を使うことになってしまったという。
 現金は、修繕や予期せぬトラブルへに備えるだけでなく、融資を受ける際の信用力や頭金に使うべきもの。手元の資金が増えるまで次の融資を受けられない。実際に自分の預金は減ったうえ、大きな家賃収入が得られるわけでもない。その状況で改めて、次の融資までの時間が“380万円分も”延びてしまったと実感した。
 「もちろん、現金で購入物件を増やす手法もあるでしょう。しかし、大きく規模を拡大したい場合は手元のお金を残し、レバレッジを活用するのが基本なのだと痛感しました」(馬場オーナー)

▲購入後に多額の修理費がかかった戸建て住宅

 

②ドミナント戦略に絞る

 不動産で資産を築くと決めた後は、すぐに大手メーカーに転職した。不動産投資を学ぶための時間をつくるのが目的だった。年収より労働環境を重視してホワイト企業を選んだという。その結果、今までにないほど自由に使える時間ができた。

 馬場オーナーは転職後間もなく、これから不動産事業を行うための資産管理法人を設立。19年には念願の1棟目である木更津市の築古アパートを、翌20年に大阪府内の小さな戸建てを購入した。

 「木更津の築古アパートへの融資は日本政策金融公庫から受けました。築古物件であっても事業性を評価してもらえればお金を貸してもらえます。私には当時貯金もなかったので、公庫の融資が通ってほっとしました」(馬場オーナー)

 その後、福島県内の1棟目を購入したのは2022年。ここで馬場オーナーは重大な事実に気付いた。木更津市のほうが福島県よりも都会で物件の価格も高い。それにもかかわらず、家賃相場はさほど変わらなかったのだ。それならば、物件価格が安いほうが高利回りを望める。

 「地方だから需要がないと切り捨てるのではなく、需要と供給のバランスが取れる条件で物件を購入すれば十分勝負できることに気付きました。2DKの築古アパートで、木更津も福島も3万5000円から4万円ほどの家賃帯でした。それならば福島に根を張って勝負しようと決めたのです」(馬場オーナー)

 これが、馬場オーナーがドミナント経営を決意した瞬間だった。

③M&A

 もう1つ、馬場オーナーを語るうえで重要なのが、自らも仲介・管理事業を立ち上げた点だ。最初の不動産を購入するため物件を探していた頃「この仕事だったら自分で会社を立ち上げることができるかもしれない」と感じたことがきっかけだったという。思い立った馬場オーナーは20年に宅地建物取引士の資格を取得し、21年に資産管理会社の子会社の位置付けで不動産会社を設立した。

 最初は賃貸仲介を行っていたが、1件1件の仲介手数料は少ない。それならば、管理戸数を増やして着実な収入を得ようと考えた。だが、最初はうまくいかなかった。

 「不動産登記情報を調べ、空室が目立つ物件のオーナーに『私なら入居者を見つけられるので管理を任せてもらえませんか』と飛び込み営業をしたこともありました。当然なのですが、そんなことをしても怪しまれるだけでした。当初管理戸数は伸びませんでしたね」(馬場オーナー)

 知恵を絞った馬場オーナーは、オーナー向けに不動産売買の仲介を行い、そのまま管理受託につなげるビジネスモデルを構築した。

 「『この物件を売買仲介しますよ。管理もうちに任せてください』という流れなら、自然に管理受託を増やすことができました」(馬場オーナー)

 会社設立からわずか半年で管理戸数は200戸を超えた。投資用物件の販売から管理まで手かけるモデルは、大成功を収めたのだ。

▲賃貸管理業時代の営業風景


 そこから約2年後の2023年、このビジネスモデルを買いたいという不動産テック企業が現れた。馬場オーナーとしては、このままこの事業を成長させるという手もあったが売却を決意したという。

 「周りの人にも『もっと成長するであろう事業を売ってしまうなんてもったいない』と言われました。しかし、私の人生でやってみたいことの1つにM&Aがありました。経験はお金では買えません。自分が育てた事業を売るのは今しかないと考えたのです」(馬場オーナー)

 こうして、M&Aの経験を得た馬場オーナー。事業を売却した資金を得て、不動産投資を加速することができた。

 24年に4棟と戸建て1戸、25年には6棟と戸建て4戸を取得し、事業を急成長させた。中でも25年3月には自身最高額となる1億6000万円のマンションを購入。投資家としての成功に近づいていることをやっと実感したという。

これから : 憧れの投資家に迫る

 今後1~2年の目標戸数は所有260戸だ。この数字は馬場オーナーにとって意味のあるものだった。

 「私の憧れの投資家は、築古を軸に資産を形成した大物投資家の中島亮氏です。築古物件に対する考え方や投資に際しての心構えは、彼の「ユーチューブ」に学ぶところが非常に大きかった。そんな中島氏の動画を初めて見た時、彼の所有戸数は260戸でした。ずっと彼の背中を追ってきた自分としては、これはぜひ超えたい壁なのです」(馬場オーナー)

 福島の地に物件を増やし続ける。目指すは福島の不動産王だ。

 「家賃収入が約1億円になったからといって、手元に残るのは4割程度。サラリーマンを続けた人生よりは自由になるお金が増えましたが、ぜいたくしようとは一切思いません。お金を全部使うと不動産の規模を拡大できませんから」(馬場オーナー)

 あの日見た富裕層の決算書。不動産オーナーとして、その境地に1歩ずつ近づいている。

(2026年10月号掲載)

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