※この記事は地主と家主(旧家主と地主)2023年11月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
<<著者インタビュー>>
年間70件の依頼、そのうち9割が賃貸物件
─事故物件のお祓(はらい)を18年前から行っているのですね。
私が、もともと地鎮祭を執り行っていたこともあり、照天(てるてん)神社では不動産の神様である国之常立神(くにのとこたちのかみ)を祭っています。それを知る知人からの紹介で、2005年に事故物件のお祓いを依頼されたのが最初でした。今では、1年間で70件ほどの依頼があり、そのうち約9割が賃貸物件です。
─事故物件と一口にいっても、現場の状況は多種多様です。
初めて依頼された事故物件では、遺体を運び出したばかりの体液が残る床の上で行いました。強烈な死臭は今でも忘れられません。孤独死や自殺の場合、部屋の中は荒れ、足の踏み場がないことが多いです。そうした中、ひっそりと亡くなった人に対して「少しでも供養になればいい」という気持ちで清めています。
─遺体発見後、お祓いをお願いしたい場合はいつ依頼すればいいですか。
感染症のリスクを避けるため、室内の消毒が済んだ後にお祓いを行っています。全工程は30分程度です。関係者の多くは、周囲の目を気にしてできるだけ短時間でのお祓いを希望します。そこで、手軽に持ち運ぶことができて簡単に組み立てられる小型祭壇を制作しました。お祓いでは、その物件のためにつくった祭詞を唱えます。
─現地では室内の状況以外で困ることも多そうですね。
不動産会社からの依頼で、家主に話が通っていないケースでは、もめてしまうことが多いです。事故物件であることを周囲に知られたくない家主から冷たい言葉を浴びせられることもしばしばです。現場でマスコミ関係者に囲まれたこともありました。殺人事件の被害者の遺体が発見されたアパートの一室でしたが、まだ警察が捜査中だったため室内に入れず、外階段の下で行いました。どんな現場でも故人のために役目を果たすまでだと割り切って対応しました。
─事故物件に深く関わってきたからこそ、家主に伝えたいことはありますか。
突然、事故物件を抱えてしまう家主を多く見てきましたが、特殊清掃が必要な場合には、慌てて適当な事業者に依頼しないように気を付けてほしいです。また、心理的な負担だけでなく、経済的な負担も重くのしかかります。不幸な事故が起きた場合の原状回復費をどうするかについて、賃貸契約時に決めておくといいでしょう。
著者プロフィール
金子雄貴(かねこ・ゆうき)

1960年生まれ、東京都出身。照天神社(相模原市)代表役員宮司。國学院大学文学部神道学科卒業。91年、不動産事業の守護神である国之常立神を祭る照天神社をわずか4坪の土地に建立。不動産のお社として日本全国から参拝者が訪れ、敷地は240坪に拡張。事故物件や人形への御霊入れなど特異な依頼に誠実に向き合う宮司として活躍中。テレビをはじめ各種メディアへの出演も多数。
はぐれ宮司の事故物件 お祓い事件簿 ~1500件超の現場を浄化!

著者:金子雄貴
出版社:講談社
価格:1430円(税込み)
概要
事故物件とは、自殺や孤独死、殺人などにより人が亡くなった家やマンション、アパートのこと。室内が悲惨な状況になっていることも多い中、「自分がやるしかない」と事故物件専門のお祓い師としてこれまでに1500件を超えるお祓いを請け負った宮司の軌跡を描く。実際のお祓いの様子や現場で体験した不思議な現象など、さまざまなエピソードを紹介した一冊。
(2026年9月公開)

はぐれ宮司の事故物件 お祓い事件簿 -金子雄貴著
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