<<人生に、船旅という選択を ~大人のためのクルーズ案内~ >> 第5回
クルーズ船の「部屋選び」を楽しむ
窓のない内側客室から極上スイートまで
クルーズ旅行を計画する際、船やコースを選んだ後に待っているのが部屋選びだ。船の客室は「キャビン」とも呼ばれ、内側(窓なし)、海側(バルコニーなし)、海側バルコニー付き、スイートに大別される。同じ船、同じ航路でも、客室によって旅の印象はがらりと変わるため、ぜひ慎重に選びたい。

アラスカ沖を航行中。Wi-Fi環境の整った客室では、雄大な山々を眺めながら船上で仕事ができる
客室選びは、カテゴリーだけを選び、船会社が部屋を割り振るケースと、客室番号まで指定できるケースがある。前者が一般的だが「船の中央に」など希望を出せることもある。
船内の〝間取り図〟を
眺めるだけでも心が弾む
客室選びはマンションの部屋選びに似ている。間取りや広さ、バルコニーの有無、付帯サービスなど、チェック項目は多い。

「エクスプローラー・オブ・ザ・シーズ」のバーチャルバルコニー付き内側客室。窓のない客室だが、大型スクリーンに船外の景色がリアルタイムで映し出され、海を身近に感じられる © Royal Caribbean International
不動産業界でいう物件の間取り図のような「デッキプラン」と呼ばれる船内図を眺めるのも楽しいだろう。自分の部屋を選ぶ目で見ていると「この角部屋は眺めが良さそう」「エレベーターに近くて便利」といった特徴が見えてくる。

「デッキプラン」と呼ばれる船内の“間取り図”
一般的な船では、上級スイート客室は上層階に多い。タワーマンションと同じ構造だ。眺めが良く、プールやビュッフェ会場に近い一方、揺れを感じやすいという側面も。船酔いが心配なら、比較的揺れの少ない低層階の中央が快適な場合もある。
過ごし方で変わる
選ぶべき理想の客室
初めてのクルーズ旅行なら、バルコニー付き客室を推したい。朝、カーテンを開ければ、そこは大海原。パジャマのまま潮風を感じ、入港風景をのんびり眺められるのは、クルーズならではの楽しみだ。

巨大船「ハーモニー・オブ・ザ・シーズ」には、船内側のオープンエア空間「ボードウォーク」に面したバルコニー客室がある。バルコニーに出ると船内のにぎわいを眺められる © Royal Caribbean International
船旅では外の景色が毎日変わるため、バルコニーの価値は大きい。港への出入りはドラマチックだし、フィヨルドや氷河など世界の絶景を自室のバルコニーから眺める体験は、忘れられない思い出になるだろう。
一方、船内イベントに参加し、1日中アクティブに過ごすなら、客室は寝るだけと割り切って比較的安価な内側を選ぶ手もある。浮いたお金を寄港地観光や食事の代金に使うのもいい。次のクルーズ費用に回す「内側専門」のリピーターもいる。

ハーモニー・オブ・ザ・シーズの最上級客室「ロイヤル・ロフト・スイート」。2層吹き抜けのリビングと大きな窓を備えている © Royal Caribbean International
予算が許すなら、ぜひスイートへ。リビングと寝室が分かれ、広いバルコニーを備えた客室が一般的だ。専用レストランやラウンジ、優先乗下船、バトラー(執事)サービスなどが付く船も多い。大型船には、スイート専用エリアを設け、ひときわぜいたくな空間を演出する船も。中でも数の少ない最上位スイートは、早期に予約が埋まる傾向にある。船に1~2室しかない、一等地の「希少物件」なのだ。

上級スイート客室には、プライベートパーティーを開けるほどの広めのリビングを擁する客室も
クルーズ船の客室は、旅の間の「わが家」だ。デッキプランをじっくり眺め、自分にぴったりの一室を探す。その時間から、すでにクルーズは始まっている。
海事プレス社「CRUISE」 吉田 絵里 編集長
1999年、早稲田大学卒業。607日間の世界一周旅行を経て旅行メディアの世界へ。2010年、海事プレス社入社、15年より日本初のクルーズ専門誌「CRUISE」編集長。国内外クルーズラインの取材、誌面制作を幅広く手がけ、「WEB CRUISE」の運営も担う。
(2026年11月号掲載)






