<<THE プロフェッショナル>>
アップルパーク
徹底した現場主義で駐車場の収益を最大化
1991年に創業したアップルパークは、約1100カ所、駐車場は約3万2000車室、駐輪場は約3万3000車室を運営。売り上げの約8割をコインパーキング事業が占め、北海道から沖縄まで全国規模のネットワークを構築している。競争が激化するこの市場において、同社が長年持続的な成長を遂げている背景には、徹底した現場主義と、オーナーとの深い信頼関係がある。
アップルパーク(東京都北区)
山中直樹社長
専門部署による機動力
アップルパークの最大の特徴は、徹底した現場主義だ。既存現場の売り上げの最大化を図るために専門部署「フィールドマーケティング部」を設置している。同部は既存の駐車場・駐輪場を定期的に巡回し、周辺環境や競合状況、交通量などの変化を確認するとともに、蓄積された運営データを分析している。
現地調査とデータ分析の結果を基に、料金設定の見直しを検討し、既存現場の収益性向上につなげている。
こうした現場主義を支えているのが、同社のモットーである「スピード」と「チームワーク」だ。これは特定の部署だけによるものではなく、営業部、フィールドマーケティング部、メンテナンス部、コールセンターをはじめとする各部署が連携することで実現している。
営業部がオーナーの要望や土地の状況を把握し、運営開始後はフィールドマーケティング部が現場の売り上げ向上に取り組む。設備の不具合や修繕が必要な場合にはメンテナンス部が対応し、利用者からの問い合わせや現場で発生した問題にはコールセンターを含めた関係部署が迅速に対応する。「案件の提案から開設、その後の運営管理まで、各部署が役割を分担しながら連携する体制が、当社の強みとなっています」と山中直樹社長は話す。
地主から問い合わせがあった場合、最短で翌日には詳細な提案書を作成できる体制を整えている。担当エリアの市場環境や地域特性に詳しい営業担当者が、土地の立地や形状、周辺の駐車場需要などを踏まえて迅速に試算を行い、オーナーの要望に沿った提案をまとめている。

▲建物内の駐車場もコインパーキングとして運営
提案後も営業部だけで完結するのではなく、開設準備や運営管理を担う関係部署へ速やかに情報を共有する。それぞれの専門性を生かして対応することで、スピードだけでなく、その後の安定した運営まで見据えた提案を行っている。
同社は新規開拓と既存の売り上げの最大化を図ってきた結果、業績は好調だ。2024年には東京証券取引所のプロ向け市場「TOKYO PRO Market」に上場し、以降、売上高、営業利益共に伸ばしている。26年3月期の売上高は前期比9・8%増の59億9900万円、営業利益は同22・8%増の7億5200万円で増収増益を実現している。
オーナーとの対面を重視
同社の現場主義は、オーナーとの関係構築にも生かされている。効率化やシステム化が進む中でも、同社では対面でのコミュニケーションを大切にしているのだ。オーナーへのお中元やお歳暮も、可能な限り直接手渡しで行い、顔が見える関係を築いている。つまり、営業担当者は少なくとも年に2回はオーナーと直接顔を合わせ、近況報告や要望のヒアリングを行う。
こうした積み重ねにより、単なる地主と土地の借主という関係を超え、相続や土地の有効活用に関する相談を受けることもある。建築を予定しているオーナーから希望があった場合には、建築会社を紹介するなど、駐車場運営に限らない相談にも対応している。
「30年近く駐車場管理を任せてもらっているオーナーもいまして、世代交代を経てもなお、当社との関係は切れずに続いています」と山中社長は話す。
- ▲マンション敷地内の駐車場でも運営可能
- ▲駐輪場の運営も行う
同社は駐車場・駐輪場の運営に加え、コンテナ事業へも本格的に取り組んでいく。土地の形状や立地条件、オーナーの意向に合わせて、駐車場、駐輪場、あるいはコンテナ、シェアサイクル、自販機といった選択肢から、土地に適した活用方法を提案できる体制の構築を進める。
パーキング業界団体の理事長に就任
安心・安全な駐車場提供に注力
山中社長は、5月にパーキング事業の業界団体である一般社団法人日本パーキングビジネス協会(東京都千代田区)の理事長に就任した。理事長として注力したいのは、防犯だ。「業界全体として、安心・安全な現場を提供しようという動きになっており、各事業者が防犯を意識して防犯カメラの設置を進めています」と山中社長は話す。
同社では約20年前から防犯カメラを設置している。きっかけの1つとなったのが、過去に大阪の駐車場で発生したひったくり事件の際、カメラ映像が警察の捜査に役立ったことだという。
これまで防犯カメラは、繁華街や商業施設を中心に設置されることが多かったが、近年は「暗い場所」や「少しでも危険を感じるような場所」などにも対象を広げて設置を進めているという。「駐車場は怖い・危ない場所ではなく、安全な場所であることを利用者に示していく必要があります。今後も業界全体で防犯意識を高め、駐車場の安全性向上に取り組んでいきたいです」(山中社長)
(2026年11月号掲載)






