<<非住宅ではじめる遊休不動産 活用ビジネス>>
アメリカンスタイルの外観を特徴とした連棟式倉庫
事業者を中心に機能性とデザイン性が好評
TATERAは、愛知県を中心に連棟式倉庫「アメリカンストレージ」を展開している。アメリカンスタイルのデザインを特徴とし、1棟の中に2〜10室の倉庫が並ぶ形式だ。各室には1台分の駐車スペースが付いており、荷物の出し入れがしやすい点が利用者から好評を得ている。現在は名古屋市周辺の郊外エリアを中心に、10棟・65室を展開している。
アメリカンストレージ TATERA(愛知県春日井市)
太田 隆社長

利便性と見た目の両立 内製化で満室稼働へ
1室の大きさは幅3メートル、奥行き6メートル。天井が高く設計されており、資材や大型の荷物も扱いやすい。利用者は建築業者や職人などの事業者が中心で、工具や資材の保管場所として活用されている。
同サービスの強みは、コンテナ型と大型倉庫の中間に位置する「ちょうどいいサイズと価格帯」にある。18平米で賃料月額5万円ほどの同スペースは、個人事業主や小規模事業者のニーズに合っているという。
各室の前に車を横付けできる設計であることも、利用者からの支持を得ている。一般的なコンテナ型だと、駐車スペースが離れていたり、道路に車を停めて搬入する必要があったりするケースが少なくない。その点、1室につき1台分の駐車スペースを目の前に確保している同社のストレージでは荷物の出し入れをスムーズ行える。
また、アメリカンスタイルの外観も大きな特徴の一つだ。くすんだブルーやレンガ調レッドなどで塗装されており、見た目に引かれて契約に至るケースも少なくない。また、同社のストレージは基礎からこしらえ、軽量鉄骨と、外壁をガルバリウム鋼板で作り上げる。

広い土地には複数棟建てることも可能だ
「利用者には長く使ってもらいたいという思いから、見栄えの良さに加えて、造りも強固なものに仕上げています。実際に建てる際は確認申請も行っています」(太田隆社長)
ストレージ事業の立ち上げにあたり、同社は不動産会社を立ち上げた。集客を外部の仲介事業者に任せるだけでは、満室稼働の実現が難しいと判断したためだ。加えて、知名度の向上を目的に映像制作事業も内製化した。SNSを中心に情報発信をし、集客から契約、管理までを一貫して行っている。
「広告費を抑えつつ、SNSで動画発信を継続しています。少しずつ認知度が高まり満室稼働の実績をつくることができました」(太田社長)
7〜8年の投資回収想定 低コストで長期運営可能
賃料は1室あたり月額5万円前後。初期投資は2室の場合で約1000万円、10室の大型だと約5000万円程度となる。満室稼働を前提にすれば7〜8年での投資回収が見込める。開業後は3カ月ほどで満室になることが多く、空室ができても2カ月ほどで埋められているという。
「SNS発信に加え、アメリカンスタイルの注目度の高さが満室稼働につながっていると捉えています」(太田社長)
必要な土地の広さは、最小で約28坪、10室タイプの場合は120坪前後が目安。広い土地であれば、2棟・3棟と複数棟を建てることもできる。

天井が高く、広々と使える空間となっている
エリアは都心部ではなく郊外を中心に展開。具体的には、坪単価30〜50万円程度の土地が対象となる。
運営面での負担は少なく、日常的なメンテナンスは簡単な清掃にとどまる。アパートやマンションと異なり、退去ごとのリフォーム費用もほとんど発生しない。大規模な修繕としては、パッキン付きのビスの補修が想定されるが、15〜20年後に50万円程度と、低コストでの長期運営が可能だ。
「ストレージは住宅のように『新しさ』が価値の中心ではありません。そのため、築年数による賃料の下落も起きにくいと考えています」(太田社長)
ガレージからストレージへ FC展開とともに全国へ
同社の設立は2012年だ。もともとは、「アメリカンガレージ」と呼ばれるアメリカ製の個人向けガレージの販売・施工を中心に事業を展開してきた。しかし、コロナウイルス禍や資材高騰で事業は失速。個人向けガレージの需要が落ち込む中でも、事業者向けストレージには一定数の需要があったという。この市場変化を見て事業を切り替えた判断が、現在の「アメリカンストレージ」の礎となっている。
「最初のオーナーは、お付き合いのあった地主です。新たな土地活用の相談を受けた際に、このモデルを提案しました。当初は半信半疑でしたが、ストレージの需要とアメリカンスタイルの特徴を丁寧に説明した結果、『面白そうだからやってみよう』と決断いただきました。実際に開始すると満室稼働。その実績が次の案件につながり、拠点数が徐々に広がっていきました」(太田社長)
現在は人口15万人以上の都市を1つの目安とし、名古屋市周辺の郊外エリアを中心に展開している。一方で、同社はすでに全国への拡大を見据えている。積雪の多い地域を除き、今後は全国各地へ進出する方針だ。
その実現に向けて、建築業者や工務店を主な加盟対象としたFC展開を開始。すでに複数社との加盟契約を取り決めているという。FC網の拡大とともに、「アメリカンストレージ」の全国展開を加速させていく。
「現状は郊外を中心に、職人などの利用が多いですが、今後は車好きの個人にも利用層を広げていきたいと考えています。特に都心部では高級車の保管場所に困っている人が多い。地下駐車場などでまとめて管理されているケースもあり、完全に区切られた専用スペースのニーズは高いと分析しています。エリアに適した賃料設定をしながら全国展開をしていきます」(太田社長)
(2026年11月号掲載)






