注目企業 PICK UP!:原状回復専門マッチングサービス

キタムラコーポレーション
原状回復専門マッチングサービスを提供

　原状回復工事の発注サイトを運営するキタムラコーポレーション（さいたま市）が６月、オーナーと職人をつなぐ新サービス「職人ダイレクト」を開始した。オーナーと職人の直接取引を支援し、双方にメリットを提供する。

キタムラコーポレーション（さいたま市）
北村政義社長（52）

オーナー・職人が直接取引約３割の費用削減に

　職人ダイレクトは、オーナーと職人が直接取引を行うことができるマッチングサービスだ。

　オーナーは、原状回復に関わるクロスの貼り替え、クリーニングなどの施工を、職人ダイレクトで直接、職人に発注することができる。
　職人は対応可能業務をエリアと価格を明記したうえで職人ダイレクトに登録。オーナーはエリアや価格、ユーザーからの評価を考慮して職人を選び、業務を発注する。

　利用料金は、オーナーは無料、職人は月額８８００円（税込み）だ。
「職人ダイレクトの利用は、オーナーにとっては原状回復コストの削減につながります。クロスの貼り替えであれば、相場より３割ほど価格が安くなると予想しています。一方で職人にとっても、リフォーム会社や管理会社を通して受注する際に発生していた中間マージンが不要になるうえ、自身の都合に応じて受注時期を調整できるという利点があります」（北村政義社長）

　同社は２０１０年から、原状回復工事発注サイト「大家さんの内装屋」を運営している。クロスの貼り替えなどの原状回復工事を同社が元請けとなってオーナーから受注し、提携する職人に業務を発注する。クロスの貼り替えは１ｍあたり９３２円（税込み）。低価格とサイトへの価格明記が特長だ。これまで月間70件ほどの工事を受注し、年間売上高は１億５０００万円ほどとなっている。

　今回、職人ダイレクトを開発したのは、営業エリアの拡大が主な狙いだ。大家さんの内装屋では、同社が元請けになるため、エリアを全国に拡大するのが難しかったという。その点、職人ダイレクトはウェブ上で完結するマッチングサービスであるため全国どこでも対応が可能だ。

家主目線でサービス開発　自身の投資家経験生かす

▲価格順、評価順に職人を並べることも可能　

　北村社長は、もともと自身も賃貸物件を所有するオーナーだ。製薬会社でサラリーマンとして勤務している時期にアパートを購入して不動産投資を始めた。その後、自身と同じように不動産投資を始めたいサラリーマン家主をサポートしたいと考え、不動産管理会社キタムラコーポレーションを設立。現在は主にサラリーマン家主から東京都、埼玉県、栃木県などにある約１０００戸の管理を受託する。大家さんの内装屋や職人ダイレクトも、その延長でスタートしたものだ。

「賃貸経営を行う中で、原状回復費用が高いと感じていました。家主として自分が欲しいサービスが、大家さんの内装屋と、今回提供を開始した職人ダイレクトです」（北村社長）

　大家さんの内装屋は職人と直接やりとりをすることを負担に感じるオーナーの受け皿として今も人気がある。だが、同社としては、今後は職人ダイレクトのユーザー拡大に注力していく予定だ。

（2024年８月号掲載）