地域住民と多国籍の人々が集う交流空間

賃貸経営不動産再生

※以下は地主と家主(旧家主と地主)2023年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

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地域住民と多国籍の人々が集う交流空間
名物イベントが開催135回を超える

京浜急行電鉄本線日野出駅から徒歩7分。野毛山の急な坂が続く横浜市西区東ケ丘の「多世代多国籍の交流拠点CASACO(カサコ)」がある。空き家となっていた二軒長屋をリノベーションし、2016年にオープン。それ以降、地域と世界の人々をつなぐ場所として親しまれている。

▲建物のリノベ費用は、約900万円。横浜市が施設の整備を支援する「ヨコハマ市民まち普請事業」に採択され、助成金500万円と自己資金、寄付を充てた

NOP法人 Connection of the Children(横浜市)
加藤功甫代表

目指すは、世界で一番 気軽な異文化交流

 木造2階建ての建物をリノベしたCASACO。2階は留学生向けのシェアハウスで、6人の留学生と日本人の管理人が暮らす。共用スペースの大広間やキッチンがある1階は、地域に開かれたコミュニティースペースとしても使われており、和菓子教室や日本文化を伝えるイベント子ども向け英会話教室などが行われている。

 その中でも、開催135回を超えた名物イベントが「世界の朝ごはん」だ。毎月第3日曜日に、2階に住む留学生たちが中心となって母国の朝ごはんをつくり、振る舞う。1食600円で珍しい料理を楽しめると話題を呼び、地域内外から毎回20〜30人が集まる。同イベントについて、「年齢や出身地、言葉が異なっても、食べるという行為は世界共通です。一番気軽な異文化交流のきっかけではないでしょうか」とCASACOを運営するNPO法人Connection of the Children(コネクションオブザチルドレン 以下CoC:横浜市)代表の加藤功甫氏は話す。


 CoCは国際交流と教育事業が軸で、CASACOはその活動拠点。「留学生にガイドブックには載っていない、日本の深いところを知ってもらいたい。そのために、地域の人とつながれる場所をつくりたい」という加藤氏の思いが原点にある。

 建物は築75年の二軒長屋。数年間空き家だった同建物を加藤氏が見つけ、家主と交渉したところ、相場の半値程度の家賃と改修自由の条件で借りられることに。ただし、加藤氏は建築に関する知識や経験がなかった。リノベに際し知人から紹介されたのが、設計事務所トミトアーキテクチャ(同)の冨永美保氏と伊藤孝仁氏。両氏が改修に携わることで、リノベ工事は一気に動き出した。

▲二軒長屋の戸境壁を抜き、建物の真ん中に大広間をつくった。開放的な吹きけ空間で天井高は約6m。ここに多国籍・多世代の人々が集う 写真=大高隆

 

 構造に関わる工事以外は、近隣の人々の協力を得ながら、床張りや壁塗りなどワークショップ形式で施工。軒下には石畳を敷いたが、この石は大正時代から「野毛坂」に敷かれていた「ピンコロ石」。横浜を象徴する風景だった野毛坂の石畳がアスファルト舗装に改修されるとちょうど知って、加藤氏が横浜市から引き取り、手作業で約2000個を敷き詰めた。

▲軒下のピンコロ石は一口1000円のオーナー制。近隣住民がオーナーになり、自分たちで石を置いた

空き家、空き部屋を活用 留学生が暮らす交流地域に

 CASACO運営メンバーが地元町内会の集まりに積極的に参加し、地域とのつながりを築いてきたこともあり、16年のオープン以来、近隣住民は毎日のように訪れるという。この距離感は留学生にとっても魅力だと加藤氏は感じている。

 「留学生はせっかく日本に来ても、日本人と交流できる機会が実はあまりない。でも、CASACOには毎日近所の人が来るので、留学生たちは日本人と自然と話すことができます。日本語をうまく話せなかったら悔しくて話せるように頑張るし、地域のお祭りでみこしを担いだり、子どもたちとキャンプに行ったり。ここでしかできなかった経験だと言って帰国していく人が多いです」

 今後は「まちに増えている空き家、空き部屋に留学生を誘致したい」と加藤氏は語る。

 「CASACOがコンシェルジュ的役割を果たして、『英語の通じる病院はどこか』といった留学生の要望を聞き、食事も用意すれば、空き家所有者も受け入れやすいと思います。住宅地全体から留学生の『行ってきまーす』という声が聞こえるようなまちにしたいですね」(加藤氏)

(2026年6月公開)

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