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築120年の古民家を再生 地域のコミュニティースポットに 楚々soso 葉山
▲イベントスペースとしても貸し出しているコワーキングスペース
リノベの指揮をとった恵取締役
神奈川県葉山町。築約120年の民家をリノベーションした複合施設「楚々soso 葉山」が、2022年8月にオープンした。延べ床面積約350㎡の母屋と離れを店舗に改修。コーヒースタンド、地元葉山の作家の作品が並ぶ日用雑貨店、花屋などが入居し、コワーキングスペースもある。
改修工事を手がけ、運営も行うのは、神奈川・湘南エリアで古民家をカフェや宿泊施設として再生させてきた、あったかい(神奈川県鎌倉市)だ。
同社の恵実樹取締役は「賃貸情報で見かけて興味を持ちましたが、増築を繰り返した複雑な間取りで、活用法を想像できませんでした。それでもオーナーと連絡を取り、当社が葉山で手がけた宿泊施設兼カフェを紹介すると、『こんなふうに建物を残したい』と言われました。オーナーの思いを受け継ぐ形で店舗にする提案をしました」と語る。
建物は5年間空き家になっていたこともあり、改修工事は10カ月かかった。経年劣化で朽ちていた畳を剥がし、古民家の雰囲気に合わせて足場板を張った板の間に。シロアリが発生していた浴室はシロアリを駆除後、30人程度のコース料理に対応できる調理場に改修した。
▲After
庭は土を掘り起こし、竹の根や大きな
石を取り除いた後に土を入れ替えて整備。
母屋と離れは古民家ならではの雰囲気を
最大限に残してリノベ
▲before
竹や雑木に覆われ、
建物の劣化も激しかった
最も苦労したのが約90坪の庭だ。竹が生い茂り、人が立ち入れない状況だったが、重機で土を掘り起こし、竹の根や大きな石を取り除いた後に土を入れ替え、植栽。芝生が広がり、ペットと共にくつろげる空間にした。
一方、モダンな格子模様の欄間など、建物の魅力は最大限に残した。オーナーから改修後の店舗運営も依頼されたため、退去時に原状回復義務のない普通賃貸借契約を結び、改修費は同社が負担。その費用である約2000万円は、自己資金と事業再構築補助金のほか、クラウドファンディングも利用した。毎月の賃料は周辺相場よりやや安い設定だという。
同店では月1回、地元のレストランがランチ営業をするほか、ワインとディナーを楽しむ会、季節の和菓子の会など、イベントも多数開催。結婚式場としても利用可能で、庭や母屋で小規模なウエディングパーティーが行われることもある。
オープンから1年8カ月がたち、「地元の暮らしに溶け込んだ」と恵取締役は喜ぶ。「毎日、散歩で立ち寄る人や、リモートワークで利用する人もいます。今後は、葉山産野菜の販売イベントを予定していますし、葉山で暮らす工芸や美術の作家に、作品発表の場として活用してもらいたいです」(恵取締役)
▲イベントスペースはワインを楽しむディナー会や、結婚式場としても利用されている。30人程度までの小規模なウエディングパーティーができて人気だという。
(2024年5月号掲載)
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