地名・土地の名前の由来  その隠された意味とは?

賃貸経営歴史

住んでいる場所や所有している土地。

なぜこんな名前がついているの?と土地の名前の由来に興味を持つ方は多いはず。

賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主編集部」では、地名の由来について興味を持つ方に向けて

  • 地名が決まる5つの要素
  • 東京と関西の地名の特徴の違い
  • 5つの要素から見る東京の地名

について解説しました。

ぜひご自身の住まいや所有物件の地域、勤務地などの地名について由来を考える参考にしてください。

地名・土地の名前の由来

地名・土地の名前は以下のような5大要素で決まります。

  • 地形・地勢
  • 象徴的なもの
  • 人名
  • 合成地名
  • 新しい地名

ぜひ皆さんの住んでいる地域や働いている地域の地名・土地の名前の由来について考えてみましょう。

地形・地勢

地名の由来として最も多いのは、その土地の地形を表す言葉です。

古くからある地名は音(読み)が先にあり、平安時代以降に漢字で表記する方式で記録されるようになりました。あとから字をあてたため同じ音読みでも文字が違う地名が全国にたくさんあります。

地形、地勢を由来とする地名の中には、かつてその土地に住む人々を苦しめてきた災害リスクを示すものがあります。

代表的なものでは龍、亀、袋であり、関東圏では龍ヶ崎、亀戸、沼袋などがあります。川の合流点を表す合、又なども水害が多いことを表し、落合、柴又などがあります。

越谷の場合、越は川や山を越えるという意味があるほか腰ぐらいまである川の段差を指すことがあり、川を渡って超える、腰ぐらいの段差を超えるといったことが由来として考えられます。

谷は谷のことではなく音で考えると野(ヤ)を示し野は川べりの湿地帯で川の流れによって影響を受けている土地のことを示します。

ハケ、カケ、ホケ、ママ、キシ、クジといった音が含まれる地名は崖や傾斜などの面を表しています。

しかし災害リスクのある地名であってもかつて災害リスクがあっただけで、その後の地形の変化や土木対策により現在では安全性が高まっている土地も多いです。とはいえ、災害時に備えて個人でもリスク対策をしておくといいでしょう。

象徴的なもの

自然物、人工物などの象徴的なものを地名にします。

  • ○○岩
  • ○○木
  • ○○橋
  • ○○城
  • ○○寺
  • ○○宿

しかし由来となったものが現代では失われていたり場所が移ってしまって今はそこにはない場合もあります。

人名

その場所に屋敷があったり立ち寄ったりした著名人の名前が由来となります。地方では豪族や大地主の名前がそのまま地名になっていることも多くあります。

合成地名

複数の地域や村、区を合併した際に、それぞれの地域から一字ずつ取り、新たな地名にすることがあります。

新しい地名

全く新しい地名がつけられるケースもあります。新たに開拓が行われたり、地町村合併、住居表示などが実施された場合です。

イメージや縁起のいい名前、旧来の地名や由来とはまったく関係のない名前になることもあります。近年はひらがなやカタカナの地名も増えています。

関東と関西

関東地方は京の都から遠く発達が遅れましたが、中世の武士の時代になると鎌倉に幕府が置かれて政治の中心となりました。

しかし関東平野は広大な湿地帯が広がっており交通の便が悪かったと言われています。

その後江戸時代に幕府が開かれ、ここが国の中枢になりました。徳川家康が大規模な開拓に着手利根川の水運整備や、広大な湿地の開墾を進めたりしたことで関東地方は飛躍的な発展を遂げたのです。

新たな開墾された土地として新田があり、全国各地にある地名ですが特に、関東平野に多く残っている地名です。開墾された水田地帯は、江戸の街の人工を支える食料の供給源となり、やがて江戸は世界有数の大都市へと発展しました。

関東の古い地名には、谷、沼、袋、州といった湿地や低地を示すものが多くありましたが、江戸時代以降には、新田、水田、稲作を示す地名が増えました。関東地方の開拓と発展を歴史的に示すものとなっています。

ここで一つ面白トリビアをご紹介しましょう。明治2年(1986年)、千葉県内の開墾について政府より命を受けた三井財閥系の会社は、着手した順に以下にょうな数字を表す字を入れて地名を付けていったのです。

①初富(はつとみ・鎌ヶ谷市)②二和(ふたわ・船橋市)③三咲(みさき・船橋市)④豊四季(とよしき・柏市)⑤五香(ごこう・松戸市)⑥六実(むつみ・松戸市)⑦七栄(ななえ・富里市)⑧八街(やちまた・八街市)⑨九美上(くみあげ・香取市)⑩十倉(とくら・富里市)⑪十余一(とよいち・白井市)⑫十余二(とよふた・柏市)⑬十余三(とよみ・成田市および多古市)

東京の地名・土地の名前の由来

現在の東京の地名を、先に挙げた5つの要素から分析してみました。

  • 新宿:江戸時代の宿場「内藤新宿」という高遠藩内藤家の屋敷の土地の一部を召し上げて宿場を作った。新宿は文字通り新しくつくられた宿場のこと。(象徴的なものから命名)
  • 恵比寿:「日本麦酒醸造会社」がこの地に設立され、1890年に「ゑびすビール」が発売されました。ビール工場から出荷専用として日本鉄道の貨物駅ができ、1906年旅客駅として開業。1928年に恵比寿が地名になりました。(人名、企業名から命名)
  • 春日:徳川家光の乳母であった春日局がこの地の一部を家光から与えられたことから。(人名から命名)
  • 有楽町:江戸開府にさいして、茶人・武将の織田有楽斎(織田信長の弟)が徳川家康よりこの地を与えられ、その屋敷があったという説があります。(人名から命名)
  • 八重洲:オランダの航海士で、徳川家康の国際情勢顧問、通訳として活躍したヤン・ヨーステンの屋敷があったことから。ヤン・ヨーステンがなまって八重洲になりました。(人名から命名)
  • 国立市:かつては谷保村と呼ばれていました。その後、中央線の国分寺と立川の中間に駅が新設され、両方の地名から一時ずつ取り国立市になったのです。(合成地名より命名)
  • 国分寺市:奈良時代に聖武天皇の詔により建立された「武蔵国分寺」から。国分寺は各地に作られたため国分寺という地名は日本各地に存在します。(象徴的なものより命名)
  • 府中市:奈良時代に国府がおかれたころから。(象徴的なものより命名)
  • 吉祥寺:もとは神田にあった吉祥寺が火事で焼失。元の地での再建を望んだが許されず、テラは駒込に移転して再建されました。住民たちは別の地を新天地として移り住み、かつての寺を懐かしんで吉祥寺の地名を付けたそうです。

まとめ

地名・土地の名前には、場所を示す目印、土地の形や歴史、過去に住んでいた人などのさまざまな情報が含まれています。

自分が住んでいたり所有していたりする土地の名前はどんな由来があるのか、誰もが一度は興味を持つ瞬間があると思います。地名はその地域の重要な情報や特徴を教えてくれます。

土地に歴史アリ。古い土地には昔からの地主さんがいることもあるでしょう。そんな現在の地主さんの歴史も興味深いものです。

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