現地調査でわかる 区分マンション選び方 立地環境の重要性

賃貸経営不動産投資#現地調査でわかる区分マンション選び方
横山顕吾
オーナー(広島市)
1970年岡山市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、建物管理会社に就職。2008年から一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)広島支部長を務め、12年に投資用分譲マンション2戸を取得。17年に区分マンション所有に特化した専業家主へ転身。マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザー、防火管理者、損害保険募集人資格などを持つ。趣味はリフォーム、ラグビー観戦。

 

 マンションを購入する際には、建物の構造体や住民モラルだけでなく、立地環境も重要です。立地以外ならば、所有者たちで改善が可能ですが、立地は変えることができません。

徒歩での所要時間を検討

 まず、主要交通機関からの徒歩での所要時間です。仲介事業者や不動産のポータルサイトでは、分速80mを基準にしています。これは、健康な女性がハイヒールで歩いたときの平均速度です。しかし、道路には信号があったり、坂道があったりします。したがって、最寄り駅やスーパーマーケットなど利便施設からマンションまで、徒歩でどのくらいかかるのかを実際に現地調査するべきでしょう。
 また、表記どおりの所要時間だったとしても、歩道がない道路だったり、夜間に照明がない道路だったりすると、安全性や防犯性が低いとされます。このような立地条件での物件の場合、小さい子どもがいるファミリーや女性だと、入居者がいたとしても短期で退去される可能性が高く考えられます。

周辺建物での影響を考慮

 近隣に「マンション建設反対!」といった看板が立っていることもあります。これは閑静な住宅地において、新築マンションを建築する場合に多く見られます。このような地域ではマンションの建築が法的に許可されていても、町内会や近隣住民との人間関係などが難しくなることが多くあります。
 一方、近隣に「嫌悪施設」と呼ばれるような建物があると、入居者への心理的な影響がどれくらいあるかを考える必要があります。
 次に、すぐ隣の建物の調査です。隣の建物や住民に問題があると、大きな影響を受けます。1月1日に発生した能登半島地震でも7階建てのビルが倒壊しました。もちろん、耐震状況は道路から見ただけでは判断できません。しかし、災害時の想定をしておくことは大切です。
 また隣の敷地から枝がはみだしていると、景観的な問題もありますが、虫なども入ってきやすくなります。昨今は空き家も増えています。マンションの隣の家に人が住んでいなければ、修理や植栽の伐採の依頼をする際に、所有者への連絡ができず、放置するしかないということにもなりかねません。
 以上のようなことは、実際に現地に足を運び、近隣を歩いてみなければわからないことです。

ポイント

〈隣の植栽〉

NG
●主要施設までの所要時間を実際に計測する
●隣家の庭が荒れていて植物が越境してくる可能性もチェックする
●近隣でマンションの建設反対があると、入居後に住みにくく、短期入居となることもある

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