不動産管理会社(アパート・マンション)」とは? 委託するメリットや選び方

賃貸経営賃貸管理

アパートやマンションといった賃貸不動産を管理するには、自主管理と管理会社に委託する方法があります。多くの家主さんは、家賃の5%程度を支払い管理会社に委託しています。

「不動産管理会社の仕事とは?」

「管理会社に委託するメリットデメリット」

「管理会社を選ぶ基準とは?」

「家主と地主」編集部が、今まで蓄積したデータをもとに発刊している「賃貸管理会社データブック2022-2023」から管理戸数ランキング上位をご紹介します。

不動産管理会社とは

アパートやマンションの不動産管理会社とは、賃貸物件の契約、清掃、設備の管理業務を行う会社のことです。

  • 契約管理業務
  • 清掃業務
  • 設備管理業務

ちなみに、こういった契約、清掃、設備の管理を管理会社に委託せず家主が自主的に管理することを自主管理と呼びます。

アパートやマンションの賃貸を管理会社に委託した場合の管理委託費用は家賃の約5%程度掛かるのが相場です。

管理業務を管理会社に委託する場合、管理費として支払う金額の相場は家賃の5%といわれています。家賃が月5万円で年60万円であれば、管理費は、月2,500円、年3万円の計算になります。

実際の手取り金額を増やすために不動産管理会社に委託管理費用を掛けず自主管理を選ぶのも一つの選択肢となります。

また契約管理業務内にある契約更新については通常の管理費に含まない会社も多くあります。

管理業務をどの範囲で委託できるかは、管理会社によって異なるため、管理契約書に管理業務の内容がどのように記載されているのかを確認することが重要です。

契約管理業務

契約管理業務とは、以下の4つに分類できます。

  • 賃料などの徴収
  • 運営・調整
  • 契約更新
  • 契約終了

民法第611条の改正により建物や設備の不具合で生活が困難になった場合、家賃が軽減されるという新しいルールが定められました。

設備が故障すると当然家賃減額の対象となり減額する金額や減額期間について入居者と協議をする必要があります。法律の知識をきちんと身に付けたうえで適切な対応をとることが必要です。対応方法を誤るとトラブルが長引くことになります。

入居者の要求は年々細かくなっており、建物や設備の苦情などへの対応が難しくなっています。例えば、対応が難しい案件として以下のような苦情の事例が挙げられます。

「エアコンが故障したせいで赤ちゃんがあせもになったから治療費を払って欲しい」

「給湯器が故障したせいでお風呂に入れないのでホテルに泊まる。宿泊費用を払って欲しい」

「修理に立ち会うのに会社を休む。休業補償をしてほしい」

家主の立場からすると設備費の故障に起因したものにとどまらず、それに付随したトラブルへの補填が要求されています。

「賃料などの徴収」

  • 賃料などの徴収
  • 未収金の催促

「運営・調整」

  • 共用部などにかかる電気代などの支払い代行
  • 入居立ち合い
  • 建物、設備の苦情などへの対応
  • 借主らからのその他の苦情などへの対応
  • 有害行為に対する措置

「契約更新」

  • 賃貸借契約に基づく貸主と借主との間の連絡調整
  • 官公庁などへの届け出事務の代行
  • 台帳の管理
  • 空室管理
  • 借主の更新意思の確認
  • 新賃貸条件の提案および交渉

「契約終了」

  • 解約に伴う借主と貸主との連絡調整
  • 明け渡しの確認および鍵の受領
  • 住戸部分の原状回復についての借主との協議
  • 敷金の清算業務

清掃業務

清掃業務では共用部と屋外の清掃を行います。共有のゴミ捨て場があっても、曜日や分別を無視して廃棄する入居者もいるので悩ましい問題になりやすい部分です。

共用部

  • 掃き掃除
  • 紙くずなどの処理
  • 拭き掃除
  • 水洗い処理
  • ワックス掃除
  • ガラス拭き
  • ドア拭き
  • 排水溝掃除
  • 金属磨き
  • ごみ収集用ポリ容器洗い
  • 灯具掃除

屋外

  • 除草
  • 落ち葉の片付け
  • 放置物やゴミへの対応

設備管理業務

設備については法律や条例で義務付けられている点検があります。例えば、消防・防災設備については、アパートやマンションなどの共同住宅は消防用設備などを設置しなくてはなりません。

火災報知設備や誘導灯などの消防用設備などは確実に作動する必要があるため、半年に一度の点検が義務付けされています。さらに3年ごとに消防長または消防署長に報告をしなければいけません。

エレベーターは建築基準法第12条の第3項に定期検査の義務が定められています。

検査者が1年ごとに「国土交通大臣が定める基準に適合しているかどうか」を調べてその定期検査の結果に基づいて定期検査報告書を作成し特定行政庁に報告するものです。

またそのとき作成された資料は3年以上保管する必要があります。

  • 建物の点検
  • 屋外施設の点検
  • 電気設備の点検
  • 給排水衛生設備の点検
  • テレビ共聴設備の点検
  • 消防・防災設備の点検

 

管理会社に委託するのメリットデメリット

委託管理

アパートやマンションを委託管理した場合のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット 

  • 契約や退去の手続き、滞納催促、入居中の問い合わせ対応をすべて行ってくれる 
  • 苦情によるストレスが少ない
  • 賃貸経営に拘束される時間が少ない

デメリット

  • 管理費が経費として掛かる
  • 管理会社との意思疎通がうまくいかないとストレスがたまる
  • リフォームや原状回復などの費用が自分で発注するよりも割高になりがち
  • 管理会社によって対応レベルが異なる

自主管理

アパートやマンションを自主管理した場合のメリットやデメリットは以下の通りです。

メリット 

  • 管理費を節約できる
  • 賃貸経営全般を把握しやすい
  • 入居者との関係性が深くなる
  • 取引業者に自ら発注するので全体の運営コストを抑えられる

デメリット 

  • 全て家主自身が対応しないといけない
  • 賃貸経営の基礎知識をはじめ制度改正など情報収集しないとトラブルにつながる可能性がある 
  • 深夜、休日関係なく直接対応しないといけないことがある
  • 不動産仲介会社と上手に付き合わないと募集に苦労する

管理会社を選ぶ基準

管理会社は4種類

管理会社を選ぶ場合は、管理会社には得意不得意があるという点に注意しましょう。管理会社には以下4種類があります。

  • ハウスメーカー系
  • 仲介チェーン系
  • 地域密着系
  • 投資用物件販売系

ハウスメーカー系はブランド力がある、仲介チェーン系は集客力が強い、地域密着系は独自のノウハウがある、投資用物件販売系であれば、次の購入につなげやすいなど、それぞれ強みが異なります。

また、新型コロナウイルス流行下では、仲介・管理にも非対面の仕組みが広がりました。

管理会社に内見の問い合わせがあれば、営業時間外であっても24時間365日対応できる自動応答サービスの導入もされています。

またVRという直接部屋を確認しなくても部屋を確認できるサービスの導入も。

上記のように、取り扱うサービスで選んでもいいですが、自分の感覚を信じるのも大切です。直接話してその会社の雰囲気や、担当者の人となりを感じ、地域密着型の家族経営であれば社長さんと話せば信頼できる人柄でありそうかが分かるでしょう。

大手で頼んだことをきっちりやってくれるのを求めるのも良し、地域密着の家族経営で社長さんのキャラクターを信頼して長い付き合いを築いていくのも良いでしょう。

また大家の会でも情報交換が行われています。大家の会に参加して、何年も大家業をやって成功している大家さんから直接事業者を紹介してもらうのも一法でしょう。

管理会社の強みを把握し、自分の意向に合った会社とお付き合いできるようにしましょう。

管理会社の変更

管理会社と付き合っていく中では悪い対応に当たってしまうこともあります。社長はよかったが担当者が悪かった、そんなケースもあるかもしれません。以下のようなケースが考えられます。

  • 管理委託契約で契約したことをしてくれない
  • 共用部の掃除をしてくれず汚い
  • ゴミ捨て場の掃除をしてくれず有り得ないほど汚い
  • 入居者からの「設備が壊れた」などの依頼を放置する
  • 騒音苦情を無視し続けた結果空き室が激増
  • 担当者の担当物件が多すぎて自分のところまで手を回してくれない
  • 設備が壊れたときに事業者を紹介してもらったが、かなり中抜きされている

管理委託された管理業者が、完全に手抜きをしていて管理業務が滞ってしまうことがあるかもしれません。その場合はハッキリ苦情を伝えましょう。それでも改善が見られない場合は管理業者を変更すると良いでしょう。

管理会社戸数ランキング

「家主と地主編集部」では、不動産(アパート・マンション)賃貸管理の戸数ランキング上位200社を紹介。以下のような賃貸管理の実態を調査。

  • 不動産(アパート・マンション)賃貸管理の実態
  • 家主の実態
  • 不動産(アパート・マンション)賃貸管理会社のDX推進状況
  • 不動産(アパート・マンション)賃貸住宅市場動向

 

管理会社や家主さんの管理戸数や入居率、売り上げなどを前年比や地域別に分析、都道府県別の賃貸住宅市場動向を、「家主と地主編集部」が今まで蓄積してきたデータを調査、分析して皆様に公開しております。

https://www.zenchin.com/info/16854.php

まとめ

アパートやマンションを自主管理をすれば、管理委託の場合の以下の業務を家主自身が行う必要があります。

  • 契約管理業務
  • 清掃業務
  • 設備管理業務

不動産会社に委託すると仲介手数料が約1か月程度(入居者が支払うこともある)、不動産管理業務で家賃の5%程度掛かりますが、家主さんの仕事の煩雑さと比較すると管理委託するのはとても良いシステムと感じる家主さんが多いようで、2割の家主さんが自主管理を行い、8割が一部やすべてを管理会社に委託しています。

大家さんとは? 不動産の大家さんになるには

 

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