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コミュニティー生む各事業者の取り組み
一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)は2023年11月28日、「あしたの賃貸プロジェクト」の第4回シンポジウム「ごちゃまぜコミュニティ×自分らしく暮らせる賃貸住宅」を開催した。当日はオンライン視聴も含めて約1300人が参加。同プロジェクトのスーパーバイザーである大月敏雄東京大学大学院教授が包括的居住支援について講演したほか、多種多様な人が参画するコミュニティーづくりを進める民間事業者らが、各自の事例を紹介した。
事例講演:尼崎市「REHUL」プロジェクトの挑戦
市営住宅の空室を居住支援に活用
兵庫県尼崎市と生活協同組合コープこうべ(神戸市:以下コープこうべ)は2022年4月から、市営住宅の空室を居住支援などに活用する「あまがさき住環境支援事業REHUL(リーフル)」を開始。
尼崎市の秋岡修司氏によると、同市は旧耐震で老朽化した市営住宅の建て替え計画を進めており、建て替え・廃止の対象住宅は新規入居募集を停止中だ。そのため、空室の増加と入居者の減少が進行し、自治会活動も衰退している。一方、コープこうべは地域活動に取り組む中で、住宅確保が困難な人々から居住支援の相談を度々受けていた。
REHULでは、コープこうべが中心となり地域の各種支援団体が登録する「リーフルネットワーク」を構築。登録した支援団体は尼崎市営住宅の空室の使用許可を同市に申請し、同市は支援団体に空室を貸し出す。支援団体はその空室を居住支援を申し込んできた人に貸し出す。
コープこうべは同市と支援団体との調整のほか、申し込み窓口も担う。支援団体は同市に1戸あたり月額6500円の使用料を払い、入居者へは独自で家賃設定が可能。ただし、設定家賃の根拠を同市に示す必要がある。
同市は約100戸の空室を用意し、そのうち、35戸が貸し出されている(23年7月19日時点)。コープこうべの前田裕保氏によると、外国人や生活困窮者、DⅤ(ドメスティックバイオレンス)被害者らが入居しているという。入居には自治会活動への参加が条件のため、自治会の活性化にもつながった。「新しく入居したシングルマザー親子が率先して行った草刈りをきっかけに、従来の入居者も加わって定期的に清掃活動をする新たなコミュニティーが生まれた例もある」(前田氏)
(2024年3月号掲載)
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