INTERVIEW 不動産市場で光るプレーヤー:投資用不動産売却サポート

賃貸経営不動産投資

人間力とテクノロジーで投資用不動産の売却をサポート

パートナーズ(東京都港区)は投資用不動産の売却・購入・運用、保険、少額投資を取り扱い、資産運用を総合的にアドバイスする企業だ。2021年からはグループ会社となったGA technologies(ジーエーテクノロジーズ 以下、GA:同)が運営するネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」において、不動産売却DX(デジタルトランスインフォメーション)サービスを提供している。パートナーズの吉村拓代表取締役社長CEO(以下、吉村社長)に今後の展望について話を聞いた。

パートナーズ(東京都港区)
吉村拓代表取締役社長CEO(44)

ネットで簡単に売却

 「LOVE&TECHNOLOGY(ラブアンドテクノロジー)」。この言葉をブランドメッセージに掲げ資産運用の新たな価値の創造に挑んでいるのが、パートナーズだ。「愛を持って顧客と向き合う」ことを大切にして成長してきたパートナーズは、創業以来13期連続増収増益を実現。20年は年商212億円、GAグループに参画してからは連結決算のため、パートナーズのみの年商は非公開となっているが、23年度は前年比157%だという。GAグループの一員となることで、テクノロジーという武器を獲得し、事業拡大を図る。GAもまたパートナーズがグループ会社になって以降、売却物件の取り扱いを強化する。経営統合により、両社が発展していけるよう展開しているのだ。

 パートナーズの主力事業は物件売却の仲介。主に単身者向けのコンパクトマンションを扱う。同社が設立した11年ごろは、まだ投資家が不動産投資を学ぶセミナーやユーチューブ動画配信などがほとんどない時代。不動産を購入できても、その後の賃貸経営の知識がない人が目立っていた。コンパクトマンションのオーナーに直接営業をすると、物件自体は悪くはないものの運用に困っている人が多いことに気付いた。

 「オーナーさまの困り事を丁寧に聞くことで、私たちは信頼できる相談役となり、寄り添うパートナーさまとしての関係を築きます。その過程で、初めは売却を考えていなかったオーナーさまが、最終的には売却を決断することが多くあります」と吉村社長は話す。

 このようにパートナーズは不動産オーナーと信頼関係を築き、解決策の一つとして売却を提案、その仲介へとつなげてきた。21年にGAのグループ会社になってからは、パートナーズはRENOSYの売却部門を担っている。RENOSYの機能拡充により、営業担当者による対面営業に加えて、デジタルを活用した集客に取り組んでいる。

 具体的には、経営統合した21年以降、新機能を続々提供。その中でも大きな新機能が、次の三つだ。

 一つ目はRENOSY内の不動産オーナー向けマイページ上で提供している、価格査定機能に22年8月に追加された「投資不動産AI査定」だ。特徴として、AI(人工知能)が収益還元法により査定価格を算出する。不動産オーナーはマンション名や間取りなどの所有物件情報を登録することで、売却・賃料査定額や月次の査定価格推移を確認することができる。

 これによりRENOSYマイページは、居住目的で保有する物件と投資目的で保有する物件の査定価格を区別し、より正確な概算価格を提供できるようにした。しかも、この投資不動産AI査定をマイページ上に無償で提供している。

 二つ目は、23年6月に開始した、不動産オーナーが所有する投資不動産の「収支シミュレーション」の提供だ。投資不動産AI査定との併用で、投資不動産の売却検討の際に必要な収支状況などの数値を可視化した。

 三つ目は24年6月にスタートした「かんたんネット売却」だ。この新機能によって、投資用不動産の売り出しから売買契約までをネット上で完結できるようにした。具体的には、投資用不動産オーナー自身が売りたいときに希望売り出し価格で媒介契約を締結し、所有する物件の売却ができる機能だ。

 一方、進め方に不安がある投資用不動産オーナーには、不動産コンサルタントがサポートし、安心して売却まで進めることが可能。売り出し中に価格交渉を含む営業電話が投資用不動産オーナーにかかってくることはなく、問い合わせ状況は定期的に届くメールやRENOSYのマイページで確認ができる。

 「かんたんネット売却は不動産版フリマアプリのようなサービスです。フリマアプリでは例えばナイキの靴とか、自分で金額を入れて売り出せますよね。不動産の場合は宅地建物取引業法という法律があるので媒介契約が必要ですが、オーナーは所有しているマンションの売却希望価格を手入力して、媒介契約を電子契約で結べるようになっています。つまりすべてスマホ1台で完結できるようになりました」(吉村社長)

300社の法人ネットワーク

 デジタル化を進めることによって、成長するパートナーズ。だが、吉村社長が最も重要視するのは従業員だ。「やはり組織なので、どんなにテクノロジーが発達しても一緒に働くメンバーが大事だと思っています。われわれの中で互いに愛を持って向き合っているかどうかということを、とても重要視しています。本当にその人のことを真剣に考えたうえで、こうしたほうがいいと思うよとか話します。他方メンバーも『でも自分はこう考えます』と真剣に向き合ってくれるので、いい成長ができると思っています」(吉村社長)

働くメンバーを大切にする

 パートナーズが選ばれている理由は安心感だという。「投資用不動産の売却には購入した会社、入居者、賃貸管理会社、建物管理会社、抵当権者など関わる人々が多く、手間がかかります。オーナーさまがそういった複数の人々を取りまとめることに不安を感じていたり、作業の不備をDXで効率化していけるというのが、取引実績が多い当社に安心感を持っていただける理由でしょう」(吉村社長)

 同社には物件の売却先として300社(24年5月末時点)とのネットワークがある。「必ず出口は見つけられる自信がある」と吉村社長は力強く話す。というのも、パートナーズでは直接不動産オーナーから物件情報を獲得するため、通常発生する中間マージンを上乗せした金額ではなく、中間マージンをカットした適正価格で提供することができるのだ。
 「今後はLOVE&TECHNOLOGYをさらに推奨し、会社を大きくしていきます」と吉村社長は熱いまなざしで語った。

(2024年12月号掲載)

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