定期的に家主の会を主宰して20年
不動産を通じた金融リテラシーを啓蒙
東京の本部のほか、全国に七つの支部を持つ「大家さん学びの会」が創立20周年を迎えた。不動産経営を取り巻く環境が大きく変わっていったこの20年を見てきた主宰者の水澤健一代表(東京都豊島区)に話を聞いた。
大家さん学びの会
水澤健一代表(56)(東京都豊島区)
――大家さん学びの会を発足した理由は何だったのでしょうか。
私にとって不動産経営を深く知るきっかけになったのが1997年、義理の両親が行っていた事業の立て直しに携わったことでした。当時はまだ参考になる書籍もなく、相談する相手がおらず右往左往しました。そこで、お互い相談し合いながら成功していけるような集まりをつくれたらという考えの下、2004年2月に会を立ち上げました。
――記念すべき第一回の参加者の様子はいかがでしたか。
参加人数は20人。ちょうどロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん 貧乏父さん」が日本でブームとなった直後だったため、顔触れはサラリーマン投資家がメインでした。初回はまず自己紹介をという流れだったのですが、その自己紹介だけで4時間もかかったのを覚えています。
共感できる相手と話をしたいという家主たちのニーズに応えるために、その後、定期的に月1回、家主の会を開催するようになりました。
――現在は400人を超す大所帯ですね。
メインの会員は東京在住ですが、北は北海道から南は九州まで支部があります。最初はボランティアとして運営を行っていましたが、発足から1年ほどたったところで、会を有料化しました。さらに当会を運営する株式会社を設立して続けていったところ、各拠点でやらせて欲しいという声があがってきました。
――会員の顔触れは変化していますか。
発足当初はサラリーマン投資家ばかりでしたが、現在は物件を相続した2代目家主の会員も増えてきました。また、士業や建築士のような、賃貸経営に携わる多くの専門家が会員になっています。これはこの会の特徴でもあります。専門家の会員がいることで、家主の会員もつながりを得ることができます。情報のやりとりだけでなくビジネス交流会の側面も持つことができるのです。
――次の20年を見据えて、どのような家主の会でありたいと考えているのでしょう。
金融リテラシーを学べる場を提供していきたいと考えています。日本人は本当にお金の教育を受けてきていないと思います。そういった中で、日本はだんだんとインフレに進んでいっています。このまま、ただ単にお金を持っているだけでは、いつか立ちゆかなくなる。「持っているお金に働いてもらう」という感覚をつけるべきだと考えます。不動産経営を通して、それを学ぶことができる場として、これからもどんどん新しい人に参加してもらいたいですね。(長谷川律佳)
東京都稲城市生まれ。1996年に自宅を賃貸することで賃貸経営をスタート。その後、義父が行っていた個人事業を立て直す中で不動産の整理を開始。新築や投資物件購入を行う。自身でも物件の購入を進め、2014年専業家主となる。
(2024年4月号掲載)
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