【特集】非住宅ではじめる遊休地活用ビジネス 第一弾:②貸しコンテナ

土地活用その他建物

貸しコンテナ ルームマート(運営:湘南レーベル・神奈川県藤沢市)

神奈川エリアを中心に63カ所で展開新たに投資商品としての販売も開始

▲「バイク用コンテナ」との複合型も

稼働率90%以上のコンテナ事業

 湘南レーベル(神奈川県藤沢市)では、「ルームマート」ブランドで貸しコンテナ事業を展開。2007年の創業以来、神奈川県を中心に63カ所、1900室を運営し、現在は群馬・埼玉・静岡にまで拡大している。

 契約形態はいわゆる借地としての契約で、契約期間は10年から。同社が一定の地代のほか、保証金・権利金・敷金を地主に支払う。「地代は、エリアによって異なりますが、地域の月極駐車場の相場が目安です。コンテナ事業に関わる初期投資も当社が負担し、管理含めて運営することで、オーナーは経営リスクを負うことはありません」(運用事業部 山田励部長)。

 集客は専門ポータルサイトを中心に行っていく。稼働率は通常、損益分岐点が50%と言われるところ、同社は90%以上を維持しているという。

 出店条件は、幹線道路に面した200~400㎡の土地が基本。仮に400㎡ならば13~15基の設置が可能になる。「駅から遠い」、「日当たりが悪い」、「変形地」など住宅や店舗に向かない場所や、上下水道の引き込みがないなど、活用しづらい土地でも出店が可能だ。

  「ルームマート」のような更地にコンテナを据え置くタイプは、かつてのように基礎工事をせずにコンテナを野置きできる自治体は少なくなっている。このため短期間で初期投資を回収することが難しい。同社もオーナーに対しては、「長い期間での運営契約を結ぶようにしています」(山田部長)

 同社は「貸しコンテナ事業」のほか、「ホテル事業」、「シェアハウス事業」など様々な土地活用ビジネスを推進している。同社にとって「ルームマート」は、オーナーとの関係強化に繋げていくための「入口商品」なのだという。

 土地オーナーに対し、立地やニーズに合わせた様々な活用法を指南、ハードはもちろん企画・運営といったソフト面まで一貫して請け負うビジネスモデルだ。「一人のオーナーに、年月をかけた関係作りにより、将来の相続対策を含むトータルソリューションサービスを提供していく」(山田部長)。

 同社はまた新たな事業として、「ルームマート」の投資商品を組成。投資家に対し販売する。これまでは地主の土地活用法として同事業を推進してきたが、富裕層への資産運用法として提案する。
同社が土地を取得し、コンテナとセットにして売却する。「まずは自社で取得し、当面は自社で運営し、70~80%稼働できるようになれば売却するというスキームです」(山田部長)。

 静岡沼津市の物件を4500万円で売却するケースでは、満室時利回り11・3%を見込んでいるという。

▲「貸しコンテナ」は土地保有者への「入口商品」

(2024年5月号掲載)

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