注目の新築プロジェクト:省エネと子育てに特化

土地活用賃貸住宅

補助金は設備のグレードアップに活用
省エネと子育てに特化した造りで満室

GranGrace(グラングレイス:東京都小金井市)

(右)馬場知弘オーナー(32)(東京都小金井市)
(左)政所(東京都小金井市)髙橋修代表取締役(54)

 JR中央線武蔵小金井駅から徒歩8分の場所にある「GranGrace(グラングレイス)」は、6月28日に竣工した。募集開始は、内装工事が始まったばかりで内見ができないタイミングだったにもかかわらず、3日後に入居者が決まった部屋があったほどの反応の良さだった。

▲落ち着いた色合いで世代を選ばないGranGraceの外観

 もともと同地には、馬場知弘オーナー(東京都小金井市)の祖父の家が立っていた。GranGraceを新築するにあたり、初めに賃貸住宅の運営を共同で手がける政所(同)の髙橋修代表取締役と一緒に、周辺および東京都の賃貸需給関係を調査。すると、子育て世帯が住みやすい賃貸物件が少ないことに気が付いた。「私自身が幼い子どもを持つ父親であることから、子育て世帯が安心して住める賃貸住宅を目指すことにしました」(馬場オーナー)

 国土交通省では、子育て世帯が暮らしやすい環境創出のための取り組みを支援する事業として、「子育て支援型共同住宅推進事業」を実施している。これに認められる条件として、住宅内での事故防止のための設備や子どもを見守りやすい造りが求められる。例えばドアストッパーや転落を防ぐ手すりの設置、対面式のキッチンなどだ。

▲カウンターも設置した27・22㎡のリビングダイニング

 同物件では、必要とされるすべての条件を満たすだけでなく、髙橋代表取締役の提案を受けてカーシェアリングサービスも2台導入。「買い物や通院など、子どもがいると車が必要だと感じることがあります。そうしたニーズに応えられるうえ、物件に付加価値を与えることもできます」(馬場オーナー)

 さらに、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)よりも高い省エネルギー性能が求められるという、東京都環境局の「東京ゼロエミ住宅」(以下、東京ゼロエミ)の認証も取得。北海道レベルの断熱性を持つ最高水準(水準3)の取得にも成功した。オーナーとしては当然、建築費が上がるが、入居者の光熱費が低く抑えられることで長期入居につなげられるメリットもあるという。

▲カーシェアリングサービスは専用のアプリで管理する 

 「子育て支援型共同住宅推進事業と東京ゼロエミの認定・補助を受けたことで、それらの厳しい水準を満たすためにも建材や設備は妥協することなく良いものを選びました。その中でも全室に導入した最高レベルの性能のエアコンは、入居者に喜ばれています」と話す馬場オーナー。さらにクレジットカード決済の導入や無料高速インターネット回線など、徹底的に入居者の利便性にこだわった。その結果、20代後半から30代前半の子育て世帯やカップルが入居を決め、竣工後約2週間で満室となった。

【203号室の間取り図】

【物件概要】
物件名:GranGrace(グラングレイス)
所在地:東京都小金井市
構造:木造、3階建て
戸数:9戸
竣工年:2024年6月
間取り・広さ:1LDK・2LDK/40.33~61.38㎡
家賃:12万5000~18万6000円(管理費込み)

(2024年10月号掲載)

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