My 賃貸経営スタイル:フリーアナウンサーの傍ら自主管理

賃貸経営入居者との関係づくり

フリーアナウンサーの傍ら自主管理 入居者のよき相談相手になる

 フリーアナウンサーとしてテレビ番組の進行やイベントの司会を務める傍ら、家主業を営む櫻井知里オーナー(東京都)。
 自身が高校生の時に父親が病気になり、家族がお金に困ったことがあった。この経験から、お金の大事さを知り、多くの収入を得る方法を学ぶようになった。

櫻井知里オーナー(東京都)

 大学卒業後にアナウンサーとして仕事をしながら、小売りの副業で1000万円をためた。その資金の一部と融資を合わせて2013年に太陽光発電投資を開始。最初の年に平均して月々約20万円を手にした。櫻井オーナーは「インカムゲインを得られるようになったことがうれしかったです」と振り返る。

 不動産投資は15年から始めた。同年8月にファミリー向けの2階建て・6戸のアパートを、17年3月には3階建て・9戸の学生向けのアパートを新築。いずれも自主管理だ。櫻井オーナーは「募集や入居付けを経験したかったことと、修繕費用がしばらく発生しないことから、新築を建てて自主管理しようと当初から考えていました」と語る。

▲自主管理する学生向けアパートの1室。女子学生の目を引く壁紙にした 

 1棟目のファミリー向けアパートは、完成直後は3戸しか入居が決まらなかった。そのため、不動産仲介会社の営業担当者に現状を知らせようと、当時主流だったファクスで空室状況を毎週末知らせた。また、自ら仲介店舗に出向き、営業担当者に物件の特徴を改めて伝えた。それに加えて、内見時に少しでも気分よく見てもらおうと、アナウンサーの仕事を終えた後の夜に空室の掃除に出かけたこともあった。それらが奏功し、3カ月後には満室になった。このアパートは20年6月ごろに売却したが、学生向けアパートは今も自主管理を続けている。「入居者は私と年が離れた学生なので、私は姉のような存在です。『何かあったら連絡してね』と伝えています」(櫻井オーナー)。自主管理ではないが、同年4月からは、補助金を活用して新築した30戸のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)も所有している。

取材力が物件選定時のマーケティングに役立つ

 アナウンサーという仕事柄、日頃から取材や聞き取りをすることも多い。このスキルが物件選定のためのマーケティングにも役立った。

 1棟目のファミリー向けアパートのときは、周辺地域についての情報を収集する中で、将来的に都市開発が進むという情報を公になる前につかんだ。道路が整備され交通機関の利便性が上がることが見込まれたため、建築を決断した。

 サ高住の建築にあたっては、需要がどれだけ見込めるかを徹底して調査した。地元の役所の高齢者福祉の部署を訪ねて地域の高齢者数を調べたほか、サ高住の運営会社から隣接する高齢者向け施設の入居待機数を開示してもらった。すると、高齢者数と入居待機数の両方が多いことがわかり、投資決定の後押しになった。
 現在も、櫻井オーナーはロケで遠方に行った際には、仕事の合間にその土地の人々と話し、情報収集を欠かさないという。

(2024年10月号掲載)
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