安く仕入れて設備を充実 現金買いで安定した経営
「賃貸不動産経営で大切なことは、安く購入するのが8割、良く暮らしてもらうための日々の工夫が2割」と話すのは高島正紀オーナー(神戸市)。中古物件を購入するときは、想定家賃を相場より1割程安く設定したうえで、利回り15%になることを目標としている。
高島正紀オーナー(75)(神戸市)
2001年、早期退職優遇制度を活用し、退職。03年に、上乗せされた退職金を元手に最初の中古アパートを購入した。現在はアパートのほか区分所有マンション、戸建てなど40戸を所有している。
また、現金での購入に徹することにもこだわっている。借り入れは一切考えず、家賃収入をためてコツコツ物件数を増やしてきた。物件の取得金額を抑えるため、始めのうちは競売も活用。その後は競売で条件に合う物件がなかなか見つからないこともあり、一般市場でも吟味し購入しているという。ここ数年の家賃収入は年間600万~700万円ほど。年に1戸のペースで築古戸建てを購入している。
不動産はレバレッジが効かせられるのが魅力だといわれるが「銀行の融資を得ようと作戦を練らなくてもいいですし、競売での購入ではむしろ融資を考えないほうが購入のスピードも上がります。何より、借金をしないことが安心感につながって入居者へのサービスに気を回せるのです」と自分のスタイルを貫いてきた。
安くても設備は一流メーカー 入居時には必ずあいさつ
利回り15%と、安く仕入れるからといって「安かろう悪かろう」はない。入居者への還元で家賃設定は相場より1~2割安くするが、エアコン、シャンプードレッサー(洗髪洗面化粧台)、キッチンは一流メーカー品を設置するようにしている。「対応できていない一部の物件は現在施工中です。入居中であっても、設備を取り換えると連絡すると喜ばれますね」(高島オーナー)
このように、賃貸経営に際しては、利益よりも利他の心を重視している高島オーナー。入居者に満足してもらえれば、家主も安定経営ができると考える。日々の入居者との関わりにも、その気持ちが表れている。
まず、入居時には必ず高島オーナーが出向いてあいさつをする。そして、自分の住んでいる場所や生い立ちを話して相手との距離感を縮める。不都合があった際に入居者が困らないよう、自分の携帯電話の番号も伝えておく。
高齢の入居者に対しては、毎日車で行き、外から様子をうかがう。異変を素早く察知するためだ。このほか、特に病気で生活保護を受けている入居者については、ケースワーカーや訪問ヘルパー、病院、市と連携して状況把握に努めている。「要配慮者といわれる人の中には、自分でごみ出しができない人もいます。見回りのときに気が付けば出してあげるなど、気持ち良く生活できるように接しています」(高島オーナー)
今後は、2人の子どもへの承継を見据えて、子どもたちが経営しやすい環境をつくり、ファミリータイプ1棟7戸、戸建て3戸を買い増し、50戸所有することが目標だ。
(2024年11月号掲載)
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