家主のアナザーストーリー:オンライン制スクール運営

賃貸経営ストーリー

アメリカの高校卒業資格得られるオンライン制スクールを運営

浅井理仁オーナー(神奈川県鎌倉市)は2020年にオンラインスクール「ipcインタースクール」を立ち上げた。ipcは愛(i)、情熱(passion)、勇気(courage)・挑戦(challenge)の頭文字を取ったものだ。経験も知識もなかった教育事業を立ち上げた裏には、挫折した過去と教育に対する想いがあった。

第46回 浅井理仁オーナー(43)

[プロフィール]あさい・りひと
1981年、鹿児島市生まれ。30歳で起業後、不動産事業ほかさまざまな業種の会社経営を経験。現在はipc代表を務める傍ら、所有する神奈川県箱根町の土地で宿泊施設を開業するための準備もしている。

 

夢の実現を後押しする学校

 浅井オーナーが代表を務めるipc(横浜市)では、ipcインタースクールを運営している。アメリカの高校の卒業資格が取得できるオンラインスクールだ。アメリカ・フロリダ州にある「Citizens High School(シチズンズ・ハイ・スクール)」と提携しており、同校の授業を受けることができる。

 ipcインタースクールの生徒は不登校の子どもやアメリカの大学への進学希望者、帰国生、アメリカ在住だが現地の学校が合わない高校生ら多種多様。

 また生徒一人一人にメンター(相談者)が付き、目標や要望を聞いて、オーダーメードのカリキュラムをつくることも特徴だ。代表である浅井オーナーは、生徒とオンラインで面談。進路相談などに真摯に対応する。

 「決められた科目だけを学習するのではなく、才能を伸ばし将来の夢を実現するためのスキルを学べる学校だと思っています」(浅井オーナー)

挫折やコンプレックス糧に

 浅井オーナーがipcインタースクールを立ち上げた背景には、自身の挫折経験がある。中学時代にいじめに遭って非行に走り、高校は3校の入学・退学を繰り返したが、いずれも中退。中卒で不動産業界に飛び込んでからは成功を収めたものの、親の期待に応えられなかったことへの後ろめたさや学歴コンプレックスをずっと抱えて生きてきた。

 その後、自身の子どもに学ぶ姿勢を示したいと38歳で入学したのが、生徒の個性を尊重してくれるアメリカのオンライン制高校だった。当時、沖縄に同校の日本事務所があり、浅井オーナーの願書を見た日本事務所代表がその経歴に興味を持ち、東京にいた浅井オーナーの元に会いに来た。ぜひ学校経営に関わってほしいと頼まれ、生徒として学びながら、経営に携わるようになった。

▲卒業後にアメリカ留学が決まりあいさつに来た親子と、その際贈られた手紙

 その経験から、自身で理想の学校をつくることを決意。提携先を探すため浅井オーナーの理念や条件を文書にしてアメリカの複数の学校へ送ったところ、賛同してくれたのが前述のCitizens High Schoolだった。

「今や卒業生は世界各地にいます。いつか彼らと一緒にビジネスをする日が来るのを、楽しみにしています」と浅井オーナーは話す。

(2024年11月号掲載)

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