入居者との思い出:入居者との交流

賃貸経営入居者との関係づくり

共用部でミニトマトを栽培 入居者たちの交流のきっかけに

 岡野敏彦オーナー(東京都練馬区)は自主管理している戸建て6戸の共用部に花壇を作り、5月からはミニトマトを栽培した。6戸のうち4戸には小学校低学年の子どもがおり、夏休みの宿題に観察日記を書くこともできるので、とても喜ばれたという。

 きっかけは8年前に戸建てを建てた際、ごみ捨て場を設置した敷地の空きスペースに花壇を作ったことだった。花壇の横には大きなモミの木も植えた。すると、入居者の一人がその花壇で家庭菜園をやりたいと言いだした。許可したところ、ブロッコリーやイチゴなど、難しいものばかりに挑戦してなかなかうまく育たない。そこで栽培が簡単なサトイモにしてみたところ、成功。入居者の子どもたちが毎朝水やりをしたおかげで立派に育ち、秋にはイモ掘りができた。その後数年はサトイモ菜園が続いたが、連作障害が起きてしまい、植えるものは花にしていた。

岡野敏彦オーナー(64)(東京都練馬区)

[プロフィール]おかの・としひこ
1960年、埼玉県所沢市生まれ。大学卒業後ガラスメーカーに勤務。在職中に親が所有する土地にアパート2棟、戸建て8戸、テラスハウス1棟を建て兼業家主に。2022年に専業家主となり、省エネ性能にこだわるなど入居者満足度の高い物件を建て、利回り10%以上を確保している。

▲子どもたちに喜ばれたミニトマト菜園

 ミニトマト栽培を始めたのは、2023年に入居者の子どもが夏休みに小学校から持ち帰ったミニトマトを自宅の庭に植えたが猛暑で根付かなかったという話を聞き、「来年はこの花壇に植えようね」と約束したからだ。

 岡野オーナーは花壇を4区画に分けて4戸それぞれに割り当て、収穫の時期がきたら自由に取っていいことにした。春に植えたミニトマトは6月に入ると青い実をつけ始め、9月上旬まで楽しむことができた。子どもたちは毎日ミニトマトが実る様子を興味深く観察し、収穫するときも大喜びだったという。

 自分たちで育てたものを食べることができるのが家庭菜園の醍醐味(だいごみ)だが、岡野オーナーにとっての一番の収穫は、入居者同士に会話が生まれたことだ。

 「『実がついてきましたね』といった話から始まり、学校や地域のイベントの話題などに発展し、親交も深まります。私が経営する戸建ては長く住む家庭が多いです。そのため、近隣との良好な人間関係も入居者の満足度を高めるための大切な要素だと思っています」と岡野オーナーは話す。

 ミニトマトの栽培は9月で終わった。2025年はサツマイモかサトイモを植える予定だ。冬には、クリスマスに合わせて花壇横のモミの木をライトアップしている。また新たな交流が生まれることを、岡野オーナーは楽しみにしている。

▲ライトアップされた冬のモミの木

(2024年12月号掲載)

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