親子の時間づくりの一助にと
コロナきっかけに子ども食堂を開始
大城幸重オーナー(群馬県高崎市)は、所有するアパートの敷地内で「倉賀野わいわい子ども食堂(以下、子ども食堂)」を2020年3月から始めた。地元企業からの寄付やボランティアの支援を得て、月1回、予約した家庭に食材や弁当を配布している。子ども食堂を「地域に開かれた第三の居場所にしたい」と語る大城オーナーに、開設の動機や地域貢献への思いを聞いた。
第47回 大城幸重オーナー(56)
1968年、群馬県高崎市生まれ。「北関東ぐんま大家の会」代表。大学卒業後、小学校と中学校の教員として25年間勤務。2017年に退職し、専業家主に。高崎市を中心に9棟35戸を経営。
所有物件の共有スペース活用
大城オーナーが子ども食堂を始めた20年3月は、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた頃だった。小学校と中学校の教員を25年間勤めた大城オーナーは、その経験からさまざまな事情を抱える家庭があることを知っていた。ひとり親もいれば、里親として子どもを養育している「ファミリーホーム」もある。17年に退職して教育現場を離れてはいたが、コロナ下で大変な思いをしている家庭や子どもたちのために、何か助けになることをしたいと考えたのだ。
開催場所はJR高崎線・八高線倉賀野駅から徒歩1分の場所にある、所有アパートの共有スペースだ。気候のいいときはそこにテントを張るが、夏と冬は大城オーナーが経営している1階の英語塾でオープンしている。対象は小学生から高校生までの子どもがいる家庭で、年収に制限は設けていない。何をもって困窮というのか定義づけは難しく、1食でも調理の手間が省くことができれば親の息抜きになり、親子の時間がつくれるとの思いからだ。
子どもや地域の人が集う場に
子ども食堂と銘打ってはいるが、実際に大城オーナーが行っているのは「フードパントリー」だ。月1回、原則土曜日に地元のJA(農業協同組合)に野菜を寄付してもらうなど、その時々で入手できたものを配布している。夏休みと冬休みは給食がなく家庭で昼食を用意するのが大変なため、週1回、平日に開催。毎年、地元の飲食店などから弁当、缶飲料の寄付があり、20~30食を予約制で手渡ししている。
本格的な食堂を開くとなると、国家資格である食品衛生管理者の設置と厨房(ちゅうぼう)のある施設が必要だ。長く続けるには資金も要る。継続するならば、無理のない範囲でできることをするのが大切だと考え、この形式にたどり着いたという。
「今後は子ども食堂を、家庭でも学校でもない、第三の居場所にしたいと思っています。さらにお年寄りや、地域の人が気軽に集える場所にもしていきたいですね。実は最近、食堂付きの戸建てを購入しました。将来は補助金を利用し、そこでカフェやレストランとしても利用できる子ども食堂を開業することも検討中です」(大城オーナー)
(2024年12月号掲載)
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