社会課題を解決する団体とオーナー 所有物件をまちに役立つ形で貸す仕組み
NPO法人CHAr(チャー:東京都大田区)は、不動産会社やオーナーに対し、木造の空き家や空きアパートを低コストで改修するアイデアを「モクチンレシピ」として広く公開。多くの築古賃貸の再生の一助となってきた。2024年5月には、新たな取り組みとして借り手と不動産会社やオーナーをつなぐプラットフォーム「GOOD GOOD NEIGHBORS(グッドグッドネイバーズ)」をリリース、新たな挑戦を開始した。同法人の連勇太朗代表理事と米田直子氏に話を聞いた。
NPO法人CHAr(東京都大田区)
右)連 勇太朗代表理事(37)
左)米田 直子氏(37)
――GOOD GOOD NEIGHBORSとはどのようなものでしょうか。
連 私たちは、社会的課題を解決することを目的に活動する団体を「グッドカンパニー」と呼んでいます。グッドカンパニーの活動は高齢者やシングルマザーの支援、学童保育の運営などです。多くのグッドカンパニーには、自分たちが求める拠点を見つけて借りるのに苦労しています。一方で、自分の所有・管理する物件をまちに役立つ形で貸したいと考えるオーナー・管理会社は実は多くいるでしょう。彼らが出会う場をつくりたかったのです。そこで立ち上げたマッチングサイトがGOOD GOOD NEIGHBORSです。
――サイトを立ち上げた理由は何ですか。
連 物件の再生からまちづくりに視野を広げることが一つ目です。これまでモクチンレシピを多くの人に使ってもらい多くの物件が生まれ変わりました。単に築古賃貸を再生して家賃を上げるより、人口減少の時代でもずっと誰かに住んでもらうことが大切です。そのためにはまちに新しい価値をつくる必要があります。二つ目は、改修すると家賃が上がる一方で「低家賃だから住むことができた」人の居場所がなくなってしまうという問題に気付いたことです。セーフティネットとしての住まいをまちに提供し続ける仕組みも必要だと考えました。
――オーナーがグッドカンパニーに物件を貸す意義は。
米田 一緒に取り組むと面白い、大切に建物を使ってくれる、オーナーにとって彼らに貸したことが実績になるといった意義があります。現段階では特に、オーナーが安心して付き合えるグッドカンパニーが掲載中です。加えて、経営状況も確認しています。オーナーは、福祉的な活動のために貸すからと、必ずしも低い家賃を設定する必要もありません。社会貢献をしつつ、経済的利益も得られます。
――今後について教えてください。
連 これからも丁寧に貸し手と借り手を結ぶことが第一と考え、信頼できるグッドカンパニーだけを紹介していきます。オーナーにはまずサイトに無料登録して彼らのことを知ってほしいです。(五林麻美)
連 勇太朗代表理事 プロフィール
2012年にNPO法人モクチン企画(現CHAr)を設立、代表理事に就任。建築家、博士(学術)、明治大学専任講師。
米田 直子氏 プロフィール
10年程度ソーシャルビジネス支援の仕事に関わっており、CHArには2023年参画。不動産会社向け伴走プログラムの広報等を担当。
(2025年1月号掲載)
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