【連載】色彩の力:1月号

賃貸経営空室対策

Vol.1 魅力的な物件は色の力を味方にする

物件の差別化は色にお任せ

 部屋の壁の色は「白」1択! そんなふうに思っている人も多いのではないでしょうか。白は確かに便利な色です。大多数の家具に合わせやすいため、入居者を選びません。また白は日本人に好まれやすく、ほとんどの人が「嫌い」とは感じない色です。

 しかし、実は白は万能ではありません。白い部屋は、競合の多い地域ではほかの物件との差別化が難しかったりします。誰にでも対応する色だからこそ、誰からも選ばれないこともあるのです。

▲白は好まれやすいが、ほかの物件との差別化が難しい

 そんなとき、色はあなたの物件に力を貸してくれます。「どんな人に入居してほしいのか」「どんなテナントに選んでほしいのか」など、目指すターゲット層の好みそうな色を取り入れることで、入居率や契約率をアップさせることができます。

色で伝えるメッセージ

 この連載では、色彩心理学と生理学の観点から色の話をしていきます。

 色彩心理学は近年アメリカで始まった新しい学問ですが、心理と色を結び付けることは古代文明の時代から行われてきました。人はずっと昔から「色」に注目して生きてきたのです。

 色は私たちにどんな影響を与えるのでしょうか。

 例えば赤を目にすることで、交感神経が優位になって鼓動が速くなり、血流が増します。

 反対に青を目にすることで、副交感神経が優位になって呼吸が深くなり、心が落ち着くことがあります。

 また赤い部屋と青い部屋では体感温度が2~3度異なって感じるといった話は、どこかで耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。

 とはいっても、すべての人がそうなるわけではないのでは?という疑問が浮かぶかもしれません。それはそのとおりです。その人の成育過程において、例えば「青い何か」にトラウマがあればドキドキして鼓動が速くなることもありますし、国や文化、時代によっても感じ方が異なります。

 ただ、「多くの人が同じように感じる」ということは、「多くの人に同じメッセージを伝えることができる」ということです。そう考えると、色は重要だと感じませんか。

 たかが色、されど色です。

 次回からは一つ一つの色を読み解きながら、その色の持つ力を伝えていきます。

 皆さんの物件がより魅力にあふれ、目指すターゲット層に選ばれるものとなる、その一助となれば幸いです。

眞井彩子(さないさいこ)

【プロフィール】 色と旅をこよなく愛するカラーコンサルタント。自らも賃貸物件の運営を行い、色の力で満室を継続中。不動産のカラーコーディネートのほか、パーソナルカラー診断やカラーセラピー、色がテーマのまち歩きなど、色彩を通じて空間や人生に彩りを添える専門家として多方面で活躍中。著書「365日の色 彩暦」シリーズで、多くの読者から支持を得ている。

(2025年1月号掲載)

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