【特集】飼育ニーズ拡大中 ペット 共生物件②猫の特性に合わせる

賃貸経営空室対策

リノベ&新築で実現する ペットも快適に暮らせる住まいづくり

既築物件をリノベーションする場合と新築する場合とに分けてポイントを解説する。

猫の特性に合わせて付加価値アップ

クラシヲ(東京都葛飾区) 杉浦雅弘社長(63)

ハード面のポイント五つ

 「ペット共生物件を検討するなら、最初の段階で犬向けか猫向けかを決めたほうが物件に個性が出て入居者に選ばれやすいです」
 そう語るのはクラシヲ(東京都葛飾区)の杉浦雅弘社長。14年から、既築物件を猫専用共生型賃貸住宅「necoto(ネコト)」にリノベするコンサルティングを手がけ、実績は500戸を超える。「この1~2年で猫共生物件も市民権を得てきました」(杉浦社長)
 杉浦社長によると、リノベで猫共生物件にする際、ハード面では五つのポイントがある。

 1点目は、壁紙を強化クロスにすること。表面に凹凸が少ないため、猫が爪研ぎをしにくいのだという。そうすると、壁では爪研ぎを自らしなくなる。2点目は床をフロアタイルにすること。硬くて、猫の嘔吐おうと物を拭き取りやすい。3点目は、網戸の網をペット用に強化し、二重ロックを付けること。猫は前足を横にも動かすので網戸を開けてしまうことがあるため、脱走防止対策になる。
 4点目はトイレを置く場所。猫は用を足す姿を飼い主にも見られたくない特徴を持つ。飼い主の目線から外れる場所に置く提案を、家主側が案内時に間取り図を見せながら示すと入居希望者に喜ばれるという。

▲キャットステップの設置例 

 5点目はキャットステップの設置場所と設置の仕方。猫がキャットステップに登るのは、身の安全の確保と、高い場所に登って窓から外敵が来ないかを見るためなのだという。このため、窓がない部屋の奥にキャットステップを設けるのはNG。またキャットステップ上では、猫は来た道を戻ることが苦手だ。このため、最上段で終わらせるのではなく、そこから進行方向に下りられるように、段を下げていくことが重要で「多頭飼育ならなおさらです」(杉浦社長)という。

規約に不妊・去勢手術は必須

 次に管理面だが、飼い主が個々の飼い方をしないように、規約で明確なルールを設けることも大切になる。欠かせないものを順に挙げると、①不妊・去勢手術は必須②完全室内飼い③猫砂や生え替わりで抜けた毛は風呂やトイレで流さずに可燃ごみで捨てること、などだ。

 リノベ費用の目安は1戸あたり最大で25万~30万円ほど。杉浦社長は「元がペット不可物件でも、退去があった部屋を2週間程度で猫共生仕様に変えることができます。築20~25年の物件を猫共生型にリノベした場合、新築時より下がった家賃を20~25%戻すことも可能です」と語る。

▲収納の下に設けたトイレ置き場

(2025年1月号掲載)
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