【連載】人生100年時代 中高年のコミュニケーション:3月号掲載

賃貸経営ストーリー

最終回
豊かな人生のためにできること自分と向き合い笑顔で過ごす

 「今」を生きていますか

 皆さまこんにちは。心理カウンセラーの佐藤栄子です。

 最終回は「自分自身とのコミュニケーション」について話します。

 漫画家の水木しげるさんの短編作品「幸福の甘き香り」に、侍の役人の話が出てきます。猛勉強して、エリートが通う大学である昌平坂学問所に入り、同僚が遊んでいても真面目に働き貯金をし、結婚をして家も建て、子どもを大学に入れて順風満帆な人生を送りますが、臨終の間際に「わしは少しも幸福ではなかった」とつぶやきます。

 すると、横に控えていた妻が「あなたは幸福の準備だけなさったのヨ」と言うのです。役人はその一言に「味わうことを忘れていたのか」とうめくという話です。

 未来に対する不安から「お金を使うと資産が減る」ことに抵抗感があり、「自分は家の資産を守らなければならない」という責任感や役割意識にこだわりすぎていると、目の前の時間を「楽しもう」と思えなくなります。すると晩年「自分は何のために頑張ってきたのか、生きる希望が持てない」とむなしさを感じる、というのはカウンセリングでよく聞く話です。

自分自身に問いかける

 周囲とのコミュニケーションも大切ですが、今後をより充実した毎日にするために「今何が楽しいのか、やってみたいことはあるのか」と、自分自身と対話する時間をたまに持ってほしいと思います。

 そして「楽しみたいけれど我慢している」と感じたのなら、少しずつ解消に向けて行動しましょう。我慢を長年ためていると「イライラ」「無気力」など不快な感情が表面化して態度に表れるので、今から減らしていくことをおすすめします。

 近年「DIE WITH ZERO(ダイウィズゼロ) 人生が豊かになりすぎる究極のルール」という本がベストセラーとなりました。「平均寿命が長い日本人には難しい考え方」という意見もありましたが、「所持金をゼロまで使い切る」ではなく、「楽しい経験を多く持ち、思い出の配当(楽しい記憶を反すうして幸福な気持ちになる)を受け取るためにお金を使ったほうがより豊かな人生となる」という内容に納得した人も多かったのだと思います。

 我慢して不機嫌になりながら財産を残すより、笑顔になれる記憶の機会を増やして機嫌良く年を重ねるほうが、結果的に周囲の人も幸せにすることができるのかもしれませんね。

皆さま、1年間ありがとうございました。

佐藤 栄子

プロフィール:不動産会社で約20年、主に秘書業務を担当。退職後、心理学を学ぶ。現在はインターネット総合サイト「exicite(エキサイト)」を含む3社で電話とメールによる心理カウンセリングや、離れて暮らす親子がつながるための情報サイト「親子ネクト」でコラムの執筆を行う。

(2025年3月号掲載)

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