隣接する不動産の所有者間で起こり得る敷地利用に関するトラブル。法律に基づいた対応策や解消法を伝えます。
Q.隣地の住宅に大きなバルコニー私の住居や庭がのぞかれないか心配です
私が居住している家の隣地に、新たに住宅が建築されています。2階には大きなバルコニーが設置されるようで、隣人はそこでバーベキューをすることなどを楽しみにしているそうです。隣地のバルコニーが境界線の近くに設置されるため、私の住居や庭がのぞかれてしまわないか心配です。プライバシー確保のために、隣人に対して何か求めることはできるでしょうか。
A.境界線から1m未満の場合 目隠し設置の義務あり

隣人は建築している建物の「所有権」を取得することになります。所有権は、所有物についてその使用、収益、処分を自由にできる権利ですが、その使用などは、「法令の制限内において」行う必要があります。(民法206条)
質問者が心配しているように、隣人が境界線付近に窓や縁側、ベランダ、バルコニーを設置してしまうと、これらの場所から質問者の住居や庭がのぞき見られてしまい、質問者のプライバシーが保たれない可能性があります。
そのため、民法では以下のような規定を設けて、土地所有者のプライバシーを確保することとしています。(民法235条)
1項 境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ)を設けるものは、目隠しを付けなければならない。
2項 前項の距離は、窓又はは縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
そのため、境界線から1m未満の距離にバルコニーが設置されるようであれば、この民法の規定に基づいて、質問者は隣人に対してバルコニーに目隠しを設置するよう請求することができると思われます。
なお目隠しを設置しなくてもいい旨の慣習が存在している地域では、この民法に基づいて目隠しを設置する必要はありません(民法236条)。ただし、これまでに「目隠しを設置しなくてもいい旨の慣習が存在している」と認めた例はないようです。
本シリーズの連載は今回で最終回となりますが、6月号からテーマを少し変えて、賃貸不動産の疑問点シリーズの新連載を予定しています。ご一読いただけますと幸いです!
境界線付近での窓や縁側、ベランダ、バルコニーの設置について
境界線から1m未満にある場合は、目隠しを設置しなければならない
TMI総合法律事務所(東京都港区)
野間敬和弁護士

1995年、同志社大学大学院法学研究科修了。97年、弁護士登録。2003年、バージニア大学ロースクール修了。04年、ニューヨーク州弁護士資格取得。同年、メリルリンチ日本証券出向。08~11年、筑波大学大学院ビジネス科学研究科講師、12年、証券・金融商品あっせん相談センターあっせん委員。11~14年、最高裁判所司法研修所民事弁護教官。
辻村慶太弁護士

2014年、一橋大学法科大学院修了、15年に弁護士登録。
(2025年 4月号掲載)
アクセスランキング
- 注目の新築 プロジェクト:デザイン性と収納力で差別化
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第九弾①
- 注目の新築プロジェクト:植栽付きバルコニーとドッグラン
- Regeneration ~建物再生物語~:築90年の日本家屋
- 【PR・特集】相続で 困ったときに頼りになる 専⾨家・サービス①
- Regeneration ~建物再生物語~:既存不適格建築物を店舗併用住宅に再生
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:①
- Regeneration ~建物再生物語~:築古アパートをシェアハウスに改修
- 【特集】持ち味発揮 共用部を変えた家主の工夫①:エントランス
- 【特集】押さえておきたい不動産の共有リスクと解消法①
- Regeneration ~建物再生物語~:アトリエ付き住宅へリノベして受賞
- 【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識①
- 【特集】24年のカギを握る入居者を引き付ける設備9選
- Regeneration~建物再生物語~:魚屋を複合施設へリノベ
- 【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:①税務調査概要編
- 【特集】時代に乗り遅れるな今こそ省エネ化①:省エネ賃貸住宅の夜明け
- 【特集】不動産購入で伝来の土地を守る
- 地名・土地の名前の由来 その隠された意味とは?
- 地主・土地持ちはずるいvs大変?地主になるにはどうやってなる?
- 武家屋敷(大名屋敷・江戸屋敷)の特徴とは? 跡地に建つ有名施設
- 大家さんとは? 不動産の大家さんになるには
- ランドセット(売り建て住宅)とは メリットデメリット