【連載】教えて! 弁護士さん 隣地トラブル解消相談:4月号・最終回

法律・トラブル不動産関連制度

隣接する不動産の所有者間で起こり得る敷地利用に関するトラブル。法律に基づいた対応策や解消法を伝えます。

Q.隣地の住宅に大きなバルコニー私の住居や庭がのぞかれないか心配です

 私が居住している家の隣地に、新たに住宅が建築されています。2階には大きなバルコニーが設置されるようで、隣人はそこでバーベキューをすることなどを楽しみにしているそうです。隣地のバルコニーが境界線の近くに設置されるため、私の住居や庭がのぞかれてしまわないか心配です。プライバシー確保のために、隣人に対して何か求めることはできるでしょうか。

A.境界線から1m未満の場合 目隠し設置の義務あり

 隣人は建築している建物の「所有権」を取得することになります。所有権は、所有物についてその使用、収益、処分を自由にできる権利ですが、その使用などは、「法令の制限内において」行う必要があります。(民法206条)

 質問者が心配しているように、隣人が境界線付近に窓や縁側、ベランダ、バルコニーを設置してしまうと、これらの場所から質問者の住居や庭がのぞき見られてしまい、質問者のプライバシーが保たれない可能性があります。

 そのため、民法では以下のような規定を設けて、土地所有者のプライバシーを確保することとしています。(民法235条)

 1項 境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ)を設けるものは、目隠しを付けなければならない。

 2項 前項の距離は、窓又はは縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

 そのため、境界線から1m未満の距離にバルコニーが設置されるようであれば、この民法の規定に基づいて、質問者は隣人に対してバルコニーに目隠しを設置するよう請求することができると思われます。

 なお目隠しを設置しなくてもいい旨の慣習が存在している地域では、この民法に基づいて目隠しを設置する必要はありません(民法236条)。ただし、これまでに「目隠しを設置しなくてもいい旨の慣習が存在している」と認めた例はないようです。
 本シリーズの連載は今回で最終回となりますが、6月号からテーマを少し変えて、賃貸不動産の疑問点シリーズの新連載を予定しています。ご一読いただけますと幸いです!

【ここがポイント!】

境界線付近での窓や縁側、ベランダ、バルコニーの設置について

境界線から1m未満にある場合は、目隠しを設置しなければならない

 

私たちが答えました!

TMI総合法律事務所(東京都港区)
野間敬和弁護士

1995年、同志社大学大学院法学研究科修了。97年、弁護士登録。2003年、バージニア大学ロースクール修了。04年、ニューヨーク州弁護士資格取得。同年、メリルリンチ日本証券出向。08~11年、筑波大学大学院ビジネス科学研究科講師、12年、証券・金融商品あっせん相談センターあっせん委員。11~14年、最高裁判所司法研修所民事弁護教官。

辻村慶太弁護士

2014年、一橋大学法科大学院修了、15年に弁護士登録。

(2025年 4月号掲載)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら