入居者との思い出:テナント経営

賃貸経営入居者との関係づくり

長年親交あったテナントの経営難 SNS発信やアイデア提案で支援

 小西明日香オーナー(川崎市)が管理するマンションに、入居者のAさんがいる。彼女は、2000年から小西オーナーの両親が所有するマンションにテナントとして入居し美容室を経営している。

小西明日香オーナー(川崎市)

[プロフィール]こにし・あすか
愛知県大治町生まれ。マンション経営をする両親の背中を見て育つ。家業の役に立ちたいと、大学では経営学部を専攻。2012年より融資相談や物件管理を両親から一任されている。現在は鉄骨造マンション2棟、戸建て1棟、商業用駐車場を所有・管理する。

▲美容室は物件の1階で営業

 小西オーナーは自身が高校生の頃からAさんに髪を切ってもらったり、友人の結婚式の際には着付けをしてもらったりしていた。大学入学後に生まれ育った愛知県を離れても、帰省のたびにその美容室を利用。悩み事を話して相談に乗ってもらうなど、長年にわたり親交を深めてきた。

 この美容室は、予約制のプライベートサロンで、Aさんが1人で運営していた。ところが数年前、Aさんは母親の介護をしなければならなくなり、さらにシングルファーザーとなった息子と共に孫の世話もすることになった。そのため美容室を思うように営業できず、テナント料の支払いを滞らせる状態に陥ってしまった。それを知った小西オーナーは、なんとかAさんに経営を立て直してもらいたいと思い「店舗を一緒に守り続けたいです。協力させてください」という手紙を書いた。

「物件を本当にきれいに使ってくれていて、店に対するAさんの愛情を感じたのです。テナント料の支払いが遅れたからといって、追い出す理由が見つかりませんでした」と小西オーナーはその当時の心境を語る。

 小西オーナーはまず美容室のSNSを立ち上げ、Aさんの孫娘が七五三の髪を結い上げてもらっている様子や店で販売しているハンドメード作品を撮影し、コメントを添えて投稿した。さらに店内にキッズスペースを設けることをAさんに提案し、Aさんとアイデアを出し合いながらスペースをつくり上げた。
 その効果もあってか、集客状況は徐々に改善。Aさんは再びテナント料が支払えるようになった。その後23年末にはAさんの息子から「テナント契約を自分が設立した法人へ変更し、母をサポートしたい」と申し出があり、契約を締結し直した。
「母親の大切な店を守りたい、という息子さんの提案にとても感動しました。Aさんは経営者としても尊敬する女性です。これからも安心して事業を営むことができるように建物の維持管理・環境整備を頑張っていこうと思います」(小西オーナー)

▲黒板と乗り物が人気のキッズスペース

(2025年 4月号掲載)

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