My賃貸経営スタイル:資産形成

賃貸経営不動産投資

資産形成方法の一つとして 不動産を買い進める

 八乙女暁オーナー(東京都目黒区)は2015年ごろ、子どもが生まれたことをきっかけに不動産の購入を始めた。

「会社員として、この忙しさでは子どもと過ごす時間もないまま死を迎えることになる。後悔が残らないように自分が自由に使える時間を増やしたい」と強く思ったのだ。

八乙女暁オーナー(38)(東京都渋谷区)

 不動産仲介サイトで自分の希望する物件を扱っている事業者を見つけては、週末に直接会いに行った。100人には会ったという。その縁から希望に合いそうな物件を紹介してもらい、4年で10棟ほど購入、会社も辞めることができた。

 会社員時代の仕事は、投資ファンドで機関投資家向けの会社の売買に関わっていた。多額の売買の場面に立ち会うことは多かったが、自分が最初に東京都足立区の物件を購入した際はさすがに緊張したという。3階建ての木造12戸のワンルームで、地方銀行からフルローンを受けて購入した。価格は1億5000万円。家賃は6万5000円前後で表面利回りは6・5%ほどだった。

▲所有する横浜市の物件。棟数を増やしてリスクヘッジを図っている

 木造でありながら耐火等級の高い造りの新築で、入居者がすべて決まっている状態での購入と好条件がそろっていた。
 「決済が終わった後、1人でイタリア料理を食べていたのですが気が付いたらワインが1本空いていました。普段そんなことはないのですが、喜びの中に緊張もあったのだと改めて実感しました」(八乙女オーナー)

棟数を増やしてリスク回避

 八乙女オーナーは、一棟もののマンションを数多く所有することでリスクヘッジを図っている。「それなりの数を買うのがリスクヘッジです。不幸にも何かトラブルがあっても、全体で見て経営に影響が出なければいいのです。せっかくある程度の自由を得るために買っているのに、日々不安を感じるのは本末転倒だと考え、当初から一気に買い進めました」(八乙女オーナー)

▲耐火等級が高く好条件だった1棟目の物件はフルローンで購入した

 物件の選び方に絶対的な基準を設けていないのも八乙女オーナーのスタイルだ。「東京23区内の物件が多いですが、場所も利回りも絶対条件ではありません。表面利回りが高くなくても、借り入れの金利が低ければ購入する物件もあります。バランスが大事だと考えています」と話す。物件購入後も「エクセル」を使って損益計算書を作成したり、借り入れや、税金、手残りの積み上がりなどをシミュレーションしたりしている。
 また資産形成は不動産だけにこだわらない。株や金などをバランスよく所有しており、不動産が6割、その他が4割ほどだという。「不動産の部分でいえば、今後は買い取り再販やレンタルスペースなど周辺領域にもチャレンジしてみたい」と八乙女オーナーは話す。

(2025年 5月号掲載)

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