My賃貸経営スタイル:良好な人間関係

賃貸経営入居者との関係づくり

家主の会やセミナーで情報収集 良好な人間関係が経営のポイント

 麻生茂樹オーナー(千葉県成田市)は、2012年に父親から2棟のアパートを相続した。

 軽量鉄骨造のアパートは築14年で12戸、1LDKの間取りで家賃は6万2000円から7万円。重量鉄骨造のアパートは築27年、14戸・2テナントを有する。住戸部分の間取りは2DKと2LDKの2種類で、家賃は7万2000〜8万円だ。

麻生茂樹オーナー(58)(千葉県成田市)

 麻生オーナーは、物件を相続した当初の自分を「管理会社からは嫌われる大家だった」と振り返る。

アパートの相続は突然のことだったため、賃貸経営について何も知らなかった。そのうえ「相続直後はとにかく税理士とのやり取りに追われていました」と話す。

「家主は何もしなくてもお金が入るものだ」と勘違いしており、賃貸経営について学ぶ考えもなかったという。

 しかし、2戸あるテナントのうち1戸が退去したことで、焦りを覚えた。テナント収益が賃料の3分の1を占めていたのだ。これをきっかけに、経営について本格的に学び始めた。

 その中で、管理会社出身の講師によるセミナーに参加し「管理会社が嫌うオーナーの態度」を知り、衝撃を受けた。

「提案を聞かずに無理をいったり、お金を払っているのだから何でもしてくれて当然だと思っていたり、まさに当時の私そのものだったのです」(麻生オーナー)

 そこからは、管理会社との関係の改善に努めた。

 現在では、修繕計画を一緒に話し合うなど管理会社と良好な関係が築けている。

入居者とコミュニケーション 周辺物件との差別化目指す

 家主として知識が身に付いた今、麻生オーナーの賃貸経営は新たな局面を迎えている。所有する物件は現在、2棟とも満室だ。空港が近く、航空関係者が多く住む立地のため、空室に悩むことは少ない。しかし、周辺に新しいアパートが増えており、選んでもらうための工夫の必要性を感じている。

 賃貸経営の勉強を始めてすぐに、インターネット無料や室内物干しといった定番の設備をそろえた。

「今でも入居者の需要に応えるため、積極的な情報収集を続けています」と話す。

▲初日にプレゼントする日用品とごみ袋


 麻生オーナーが特に意識しているのは、入居者とのコミュニケーションだ。あいさつをして顔を覚えてもらうことはもちろん、5年前から、入居当日にはその日すぐに必要になる日用品をプレゼントしている。ティッシュペーパーやトイレットペーパー、洗剤類などに加え、指定ごみ袋をワンセットとごみ分別ガイドを同封することで、ごみ捨て場がきれいになる効果もあった。

修繕と2度目の相続を前に 次を見据えた計画を検討中

 築14年のアパートは大規模修繕を視野に入れる時期となり、築27年のマンションはあと5年でローンを完済する。麻生オーナーは現在、母からの相続に備え、新しい物件の購入を検討している。

「父からの相続は突然のことで苦労しましたが、節税対策をしながら次の相続に備えていきます」(麻生オーナー)

(2025年 6月号掲載)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら