「迷惑かけて死んだらあかん」の著者にインタビュー

相続相続税対策

<<著者インタビュー>>

迷惑かけて死んだらあかん
 土地持ち、金持ちが生きているうちにすべき相続対策

元気なうちに始める、相続の話 死んでかける迷惑は避けられる

――この本を書いたきっかけを教えてください。
 私は信和グループ経営者として、長年地主の資産活用に関わってきました。資産家の家庭では、家長が強く、子どもが何も言えない場合があります。結果的に相続の準備が間に合わず、家族が大変な思いをする現場を何度も見ています。だからこそ「家族がもめないようにできることを考えてほしい」という思いで本書を執筆しました。「準備は元気なうちに」が鉄則。その大切さを伝えたかったのです。

――相続対策に取り組む際に最も大切なことは何でしょう。
 資産のある人は、収益性のある物件を建てることで、収入を得ながら相続税対策をすることが一般的です。しかし、それだけでは不十分。必要なのは「棚卸し」で、財産がどれだけあるのか、現金・保険・不動産を洗い出し、今の時点で相続税がどれくらいかかるのかを把握する。そのうえで「何を売って」「どれを残して」どう税金を支払うのか計画することが大切です。3〜5年ごとに資産を見直すことも必要。税務署は「直前の対策」を見逃しません。だからこそ「早く始める」ことが一番の対策となります。

――インパクトのあるタイトルの意味は。
 これは、決して刺激を与えたいからではなく、「死を想像して備えることは家族への思いやりだ」という私の思いを込めたものなのです。子どもが親に対策の話を持ち出すと「死ぬのを待っているのか」と怒られることもあります。しかし、本来は逆で、資産を守るためにも、後継者と向き合って整理しておくことが大事です。私は57歳ですが、もう遺言書も書いていますし、どの物件を誰に相続させるのかも明確にしています。「言いにくいから」と後回しにするのではなく「やっておくべきこと」として伝えたいですね。

――印象に残っている収益物件の事例について教えてください。
 私の友人が自宅跡地にマンションを建てようとしていたのですが、当社では、立地的に賃貸では難しいと判断。老人ホームを提案しました。結果として、当社のグループ会社が借り上げ、収益が安定し、大変喜んでもらえました。この経験は、単に物件を建てるだけでなく「土地に合った使い方を考えること」がどれだけ大事なのかを再認識させてくれた案件でした。

迷惑かけて死んだらあかん 
土地持ち、金持ちが生きているうちにすべき相続対策

著者:前田裕幸
出版社:PHPエディターズ・グループ
価格:1650円(税込み)

概要
今ある資産を生かして、収益性と相続対策を両立できる土地活用とは。明治25年創業の老舗企業による豊富な実例とともに解説。成功例を図解や写真を用いてわかりやすく紹介しており、難しい専門用語に頼らずに読みやすい構成となっている。地主・不動産オーナーが「残された家族に迷惑をかけないために」すべき準備を事例から学べる一冊。

著者プロフィール
前田裕幸(まえだ・ひろゆき)

信和ホールディングス社長。1989年に信和建設入社後、現場監督や積算購買を経て99年に信和ホールディングス社長に就任。年商10億円の企業を、2025年には年商1000億円規模のグループへと成長させる。現在は建設・不動産、ホテル、管理、医療法人を含む19社と1法人を統括。一級建築士ほか、建築、土木、造園、経理にわたる資格を有する。

(2025年 8月号掲載)

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