【特集】Bリーグ現役選手が築古戸建てで賃貸経営スタート

賃貸経営不動産投資

<<スポーツ選手のセカンドキャリアとしての不動産経営>>
華やかに見えるプロアスリートの世界。しかし、けがをしたり現役を退いたりした瞬間から収入が途絶えるというシビアな環境でもある。第二の人生を見越して不動産経営を選択した元プロ選手、そして現役選手の歩んできた道を紹介する。

バスケ
メンターに導かれて賃貸経営開始 築古戸建て再生で拡大見込む

岩松永太郎オーナー(徳島市)


 岐阜市に2戸の戸建て物件を所有する岩松永太郎オーナー(徳島市)は、バスケットボールBリーグ3部(B3)でプロとして活躍する現役の選手。二足のわらじを履くオーナーだ。23年10月に築古1戸目を購入したばかりの駆け出しオーナーで、1戸目の入居付けには苦労をしながらも、現在は2戸とも入居者を獲得できている。

 岩松オーナーが不動産事業に興味を持ったのは同じくバスケットボール選手である佐藤卓磨選手の影響だ。すでに不動産投資を開始していた佐藤選手から23年春、「東海大家の会」の会長、加藤至貴オーナーを紹介された。漠然と「怖いもの」と思っていた不動産投資だが、試合が休みの月曜日に、毎週加藤オーナーの元に通って勉強することで不安はなくなっていった。

 勉強を始めて半年、岐阜市郊外の太郎丸にある戸建てを70万円で購入した。「座学だけでなく、手を動かすべし」と加藤オーナーからいわれて取得した物件は築50年超。亡くなった前の住人の残置物も山のように残されていた。

栄光は持っていけない 生きている時間の充実目指す

 残置物処分については、不用品処分ができる地域情報サイトの「ジモティー」を使って無料で引き渡せるものと、事業者に処分してもらうものに仕分けた。その作業中、元の住人が残していったトロフィーや賞状を目にした。

 「栄光はあの世には持っていけないということを、まざまざと見せつけられた気分でした。それならば不動産事業で得た収入で、今生きている間の人生を充実させたいと思いました」(岩松オーナー)

      ▲試合で忙しい合間を縫って再生した戸建て

 残置物の数こそ多かったものの、温水洗浄便座も付いており水回りに手はかからなかった。ペンキ塗りや網戸交換、照明の変更などの簡単なリフォームで募集を開始。当初は4万5000円の賃料を設定した。5LDKという間取りで周辺相場と同等だったものの、内見が入ってもなかなか契約につながらない。半年たっても入居が決まらなかったため3万8000円に家賃を下げたところ、その直後に入居が決まった。

 「初めて家賃の振り込みを確認したときは、アドレナリンが出ました」(岩松オーナー)

 続く2棟目は同市諏訪山に100万円で購入。東海大家の会の会員から手ほどきを受けながら、和室を洋室に変更するなどして物件をブラッシュアップした。3台分の駐車場がある戸建てで、賃料は5万円。独身男性がセカンドハウスとして借りているという。

戸建て特化で地域貢献 アスリート活動も絡める

 今後は、バスケットボール選手の収入と同程度、月30万円の家賃収入を得られるくらいに物件を買い進めていく予定だ。一方で次の購入物件については悩む部分も多いという。融資を受けて一棟アパートを買うことで家主としての経験は積めるだろう。だが、このまま戸建てに特化して買い進めてもいいのではないかと考える。そこにはアスリートとして、地域に貢献して盛り上げていきたいという思いがあるからだ。

 「家は住む人にとって、唯一のリラックスできる場所。例えば、シングルマザーの入居者に10年住んだら譲渡という形も、戸建てであれば可能だと思います」と話す岩松オーナー。戸建てはグループホームなどの福祉施設との相性もいい。実際に、事業者から問い合わせが来たこともある。

 「最近では、SNSで『アスリート大家』として積極的に情報発信をするようになりました」(岩松オーナー)。バスケットボール選手として活躍するとともに物件の提供を通じて地域に恩返しをし、それが結果的に、セカンドキャリアにつながっていくことを期待している。

▲地域に恩返しできる「アスリート大家」を目指す

(2025年8月号掲載)
関連記事↓
大学野球の選手から民泊の経営者に

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら