賃貸のクッションフロアとクロスを原状回復する方法

賃貸経営リフォーム・リノベーション

入居者が入れ替わる時には、クッションフロアや壁のクロスの原状回復が必要です。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃貸の経年劣化と通常損耗を直すための費用は、貸主負担になります。

原状回復をめぐるガイドラインを再確認し、貸主がクッションフロアや壁のクロスの原状回復の際、費用軽減のためにできることを「家主と地主編集部」が解説します。

原状回復

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では原状回復に関して、貸主と借主どちらが負担するのか明確に区分けしています。

入居から退去までの間に建物の価値がどのように減少したのかにより、誰が原状回復費用を負担するのかが決まってきます。原状回復義務では、借主の故意、過失によるもの以外は、原状回復費用は基本的に貸主の負担です。

  1. 経年劣化:建物・設備などの自然的な劣化・損耗など
  2. 通常損耗:借主の通常使用により生ずる損耗など
  3. 借主の故意、損失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗など

経年劣化

経年劣化と通常損耗は、通常考えられる生活の範囲内で生ずる損耗や劣化で、借主はその原状回復費用を毎月の家賃として支払っていると考えられます。毎月の家賃に原状回復費用が含まれるので、退去時に借主が改めて支払う必要はないとガイドラインに規定されています。

なお、ガイドラインでは、壁のクロスやクッションフロアの価値について法人税等による減価償却資産の考え方を採用しています。これらは、6年で残余価格が1円になるように計算されます。仮に借主の過失で傷が付き、借り主に原状回復の負担が求められるケースであっても、貼り替えから6年経過していれば貸主が原状回復の費用負担をしなければなりません。

通常損耗

かつては、借主が壁につけた画鋲の跡の回復費用は借主負担と考えられていました。しかし現在は、下地ボードの貼り替えが不要な程度の画鋲の跡は、貸主が負担して原状回復することとされています。

善管注意義務違反

借主がクロスやクッションフロアの一部を破ってしまった場合、借主が負担するのは㎡単位で破損した部分に限定するのが望ましいとされています。ただし、破損部分のみ貼り替えだとほかの部分を色が異なるため全部貼り替える場合は借主負担となるのもやむを得ないというのがガイドラインの見解です。一方居室全体でクロスやクッションフロアの貼り替えを行う場合は破損面以外は貸主負担となります。またクロスやクッションフロアは6年で残余価格が1円になるため、6年以上経過している場合は、貸主の負担になります。

契約時に双方で確認

原状回復費用の負担についてトラブルを避けるためには、入居時に貸主と借主が立会いの下に室内を確認する必要があります。

通常損耗なのか、善管注意義務違反なのかは、入居時および退去時に作成する「物件状況確認書」で、建具やクロスやクッションフロアなどの現況を、貼り替え済み、傷のありなしなどを写真とともに記録しておきましょう。

入居者が入居する際に預けるお金が敷金と呼ばれ、退去時に、貸主と借主が立会い、原状回復する部分を確認し、借主負担とされた部分はこの敷金から充当されます。借主負担の原状回復が発生しなければその分は借主に返金されます。

クッションフロアやクロスの原状回復費用軽減のためにできること

【アイデア1】フロアタイルを使用する

賃貸住宅を経営する家主にはクッションフロアの方が人気があります。素材が塩化ビニール樹脂であるために汚れは表面を水拭きすれば簡単に掃除ができるので手入れがしやすいからです。しかし柔らかい素材のため、タンスや冷蔵庫などの思い家具を置くと凹み跡が付き、入居者が変わるたびにクッションフロアを交換しなくてはならなくなります。

しかしフロアタイルであれば家具などを置いても跡が付くことがなく、入居者のたびにフロアの貼り替えの必要がなくなります。またピース状になっているために、傷や汚れの部分だけピースごとに貼り替えることができます。フロア材は、初期投資だけでなくその後の耐久性やメンテナンスのしやすさで選ぶと良いでしょう。

【アイデア2】クロス洗浄をする

クロスは貼り替えだけではなく洗浄・清掃して、塗りかえることも可能です。貼り替えと比較して、作業時間を大幅に削減でき、コストも1/2程度に抑えることができます。また塗料のカラーバリエーションが豊富なためアクセントクロスのような使い方も可能です。貸主はクロス貼り替えで浮いた費用をほかの追加設備に回して物件の付加価値を高めることができます。

 

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