【連載】店舗のプロが解決! 店舗不動産オーナーの困りごと:2月号掲載

賃貸経営店舗・オフィス

物件をテナントに貸すことでこんなメリットがある
気付いていないテナント効果を紹介

日本の人口減少が進む中、賃貸経営をこのまま続けていいものかと不安を感じる不動産オーナーもいるかと思います。そのような悩みを抱えるオーナーに検討してほしいのが、物件を飲食店やコンビニエンスストアなどのテナントへ貸し出すという選択肢です。今回は、物件をテナントへ貸し出すことで生じるメリットに焦点をあてて、その魅力について紹介します。

出店希望階数

 

 飲食店やコンビニなどのテナントに物件を貸し出すことで生じるメリットは、大きく分けて二つあります。一つ目は「防犯上の理由などからレジデンスではあまり人気がない1〜2階フロアを、高い賃料設定で貸し出すことができる」。二つ目は「築年数が経過していても、立地が良ければ物件としての価値が下がりにくいため、テナント募集の条件を緩和しなくていい」ということです。なぜレジデンスと真逆の効果が生じるのかというと、そこにはきちんとした理由があります。

1階路面店は高い賃料設定築古を生かした内外装も

 

 まず、店舗の出店を希望する人の多くは、1階路面店での出店を希望します(グラフ参照)。なぜなら、店舗を訪れる客のアクセスの良さ、通りに面していることによる視認性の高さ、食材や商品、備品の搬入のしやすさなど、集客や業務効率の面で、ほかのフロアの店舗より優位に立てるからです。

 レジデンスでは共用部になりやすく、収益を生み出すことがあまりない1階フロアですが、テナントへ貸し出す場合は、ビルの中でも高い賃料を設定したうえで貸し出すことができるといった利点があります。

 次に、築年数はレジデンスの場合、入居者にとって大きな関心事ですが、テナントではさほど重要視されません。なぜなら、出店したい店の業態やコンセプトに合わせて内外装をつくることがほとんどだからです。

管理をサブリース会社に一任空室があっても賃料保証

 とはいえ、オーナーにとっては家賃の未払い、臭気や騒音、ごみ処理に関するトラブルへの対応、入居テナントが退去してしまった際のリーシングなど不安もあるかと思います。そのような人におすすめなのが「サブリース契約」です。

 サブリース会社が物件を一括または区分で借り上げ、賃貸経営をすべて引き受けるという方法です。この場合、テナントにとっての貸主はサブリース会社となるため、オーナーがテナントへの対応を直接行わずに済みます。

 また、賃料収入面においてもメリットがあります。賃料を保証するといった点では、家賃債務保証会社による保証がありますが、これは、基本的には滞ってしまった賃料のみの保証となります。

 ところが、サブリース契約であれば、オーナーにとっての借主はサブリース会社になるため、テナントの入居の有無にかかわらず賃料が発生します。つまり、空室期間があったとしても、オーナーは賃料収入を変わらず確保することができるのです。

テナントに強い会社選びを経験や実績も要チェック

 もちろん、テナントとの間にワンクッションを挟むため、伝達事項にタイムラグなどが生じる可能性もあります。それを考慮したとしても、空室期間中の賃料保証、騒音や臭気などの近隣トラブル、契約に関する事務手続きなどを一手に担ってもらえるサブリース契約は、オーナーの強い味方になってくれることでしょう。

 サブリース契約を考えているのであれば、テナントに強い会社を選ぶことをおすすめします。店舗の場合、消防法や建築基準法などの順法性が、レジデンスの場合とは異なります。後々のトラブルを回避するためにも、契約先のトラブルへの対応の実績や経験をきちんと確認したうえで選定しましょう。

店舗流通ネット
戸所岳大代表取締役社長

2005年、店舗流通ネット入社。現在の主軸事業の基礎である飲食店の出退店支援事業に従事。飲食店に適した物件の開発やテナント向けのファイナンス支援に努めながら、12年、営業部部長に就任。17年、常務執行役員、20年11月、代表取締役に就任。新たに「内製、協業、M&A(合併・買収)」の3本の柱を掲げ、事業ポートフォリオの変革に向け、アグレッシブな事業展開を行う。

(2024年2月号掲載)

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