Focus~この人に聞く~:賃貸住宅入居者向け漫画コーナー

賃貸経営リフォーム・リノベーション#空室対策#漫画

初期費用ゼロでスタートできる賃貸住宅入居者向け漫画コーナー

温浴施設やホテルを中心に漫画コーナーを提供しているハイドコーポレーション(愛知県清須市)。1年ほど前から賃貸住宅への設置を始め、空室対策として効果を上げている。今回は同社の遠藤秀樹代表取締役に、漫画コーナーのどのような点が入居者や貸主側に支持されているのか、事例と併せて話を聞いた。

ハイドコーポレーション(愛知県清須市)
遠藤秀樹 代表取締役(47)

――御社のサービスは今、何カ所で導入されているのですか。

全国で約500カ所です。温浴施設やリゾートホテル、ビジネスホテルが主で、そのほかカラオケ店やフィットネスジム、クリニックなどで導入いただいています。

――賃貸住宅への提供も進んでいると聞きました。

2022年秋に愛知県知多市にある賃貸住宅に提供したことが始まりで、現在10棟に提供済みです。当初賃貸住宅に当社のサービスを提供することはイメージできていませんでした。しかし、ある会で知り合った不動産会社の人から「空室が埋まらない賃貸住宅には漫画などを置いたらどうか」と相談されたことがきっかけとなり、空室の1戸に漫画コーナーとして提供したのです。4000冊ほどを設置した結果、内覧が増えて、半分以上空室だった物件が満室になりました。

――それはすごい効果でしたね。

 その物件は非常に立地が悪く、築20年を超えていたこともあり、人気がありませんでした。だからこそ、「漫画コーナーがある」ということが大きな魅力となりました。入居する条件として、「温水洗浄便座を入れてほしい」という要望もあって対応したそうですが、そもそも引き合いがなければ入居につながることもないので、決まりにくい物件ほど効果はあると思います。

――サービスを利用するにあたってどのくらいの費用が必要ですか。

 初期費用は不要です。月額で漫画1冊あたり10円のレンタル料で、本棚も当社から無償で送ります。最少冊数は特に設けていないのですが、2000冊くらいないと、魅力的なコーナーにならないと考えています。入居者の性別、世代などによって、漫画のジャンルを当社で検討して、送ります。リスクなく始められる点がメリットです。

――漫画の管理はどのようにしていますか。

 自分の部屋に持ち出されると漫画の管理ができなくなるので、バーコードを使った管理ができるシステムを採用しています。そのシステムを提供しない場合は、監視カメラの設置や漫画コーナーのドアの鍵で管理するなどの方法があります。

――ほかにはないサービスであり、導入コストも高くないという点で、賃貸住宅の新しい付加価値サービスとなりそうですね。

 初期費用がかからないので、空室に困っている物件については、気軽に始められると思います。導入しても効果がなかった場合は、漫画を返却してもらえれば解約できることも導入しやすい点です。賃貸住宅には24年中に50棟、30年までには500棟へ提供できるように努めていきます。

(永井ゆかり)

遠藤秀樹代表取締役プロフィール
1976年、岐阜県生まれ。大学卒業後、地元の雑誌メディアの広告営業を担当。2000年に独立しハイドコーポレーションを設立。現在は全国500カ所ほどの施設に漫画本をレンタルしている。

(2024年3月号掲載)

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