LDKに高低差、間接照明で浮遊感演出

賃貸経営リフォーム・リノベーション

岡部保全

(東京都墨田区)

岡部晶代代表


 築古物件をリノベーションすることで、不動産価値を向上させて空室を解消した例は多い。東京メトロ半蔵門線住吉駅から徒歩2分の場所にある「須田ビル」もその一つだ。

 不動産賃貸事業を手がける岡部保全(東京都墨田区)が築36年となる鉄骨造の同ビル4階の部屋のリノベを実施し、完了したのは2023年12月。6畳の和室を有するひと昔前の雰囲気の2Kが、リノベによりフロアタイルを一面に敷いた1LDKへと生まれ変わった。

 

▲階段下のダウンライトで浮遊感がアップ

 

 「この部屋のテーマは〝浮遊感〟です」と同社の岡部晶代代表は話す。最大の特徴は16・5畳のLDKのうち、ダイニングキッチン部分が64㎝高くなっていることだ。高低差で空間を区切るという方法は、築古物件のリノベならではの大胆なアイデアといえる。1段上のフロアに上るために設けた階段の下にはダウンライトを設置。夜間はダイニングキッチン部分が浮いているような感覚がより強まる。

 

 

 築古物件のリノベでは、元の部屋の条件により作業や造作が変わってくる。該当の部屋は最上階で、天窓が付いていた。天窓は壊さずに生かしたいという岡部代表の意向もあり、間取りには工夫が必要だった。そこで、ダイニングキッチンと廊下の境に壁ではなく棚を設けることにした。これにより、天窓からの光を取り入れつつ玄関からの「丸見え感」を軽減。さらに、部屋の中央の段差が気にならない造りとすることができた。

 

 

 室内のカラーは、壁は白、リビングの床や棚は濃いグレー、ダイニングキッチンは明るめのグレーと濃淡のあるモノトーンでまとめた。天井は古い板を外して鉄骨に断熱性、吸音性に優れたロックウールを吹き付け、高さの確保と同時に室内カラーに統一感を出している。一方、各ドアにはモスグリーンを採用。部屋の雰囲気に合うように、あえて塗装がかすれたような加工を施したという。備え付けの照明は少なくし、入居者が自由に照明を選べるようにライティングレールを設置した。

 

 

 リノベ費用は1400万円程度かかった。賃料は20万円で23年12月下旬から募集を開始し、1週間ほどで入居者が決まった。入居者はサイトの写真や情報を見ただけで、ほぼ入居を決めてしまうほど心引かれたという。

 同社では23年に計4件のリノベを実施し、うち1件が一般社団法人リノベーション協議会(東京都渋谷区)が主催する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2023」で「フレキシブル・リノベーション賞」を受賞した。「リノベをする際には1万人の中の1人に深く刺さる部屋をテーマにしています。これからも良い物件との出会いがあれば、リノベを手がけたいです」と岡部代表は意欲的だ。

▲玄関右側にはワークスペースを設置

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