1棟目の物件で苦戦した経験が 皆で学べる家主の会につながる

賃貸経営リフォーム・リノベーション#My賃貸経営スタイル

埼玉県と栃木県に2棟18戸の物件を所有する冨田健太郎オーナー(東京都八王子市)は2016年に不動産投資を開始した。「会社から出ていた7万円の家賃補助がなくなるため、その分を投資で賄えないだろうか」と考えたことがきっかけだった。それまでも漠然と投資に興味があったが、建物を見るのが好きだったため、不動産投資が自分に合っていると思った。
 そこで現在も所有している埼玉県川口市の1LDKと2LDK混合の、10戸のファミリー向け物件を購入した。
「築30年未満で、戸数分の広い駐車場もありました。表面利回りで9・4%ならば悪くないと思い切って買いました」と話す冨田オーナーだが、現実はそう甘くはなかった。6割が空室のうえ、入居中の4戸は家賃の低い1LDKばかりだった。購入してしばらくは持ち出しが続いた。
 だが、落ち込んでばかりはいられない。原状回復すらされずに放置されていた6戸のリフォームに取りかかる必要があったからだ。そのためにまず家賃設定を考えた。周辺相場の最低ラインを調べ、それより1段階高い6万5000円に設定した。その理由を「最安値で満室になった場合、もう少し高い家賃でも入居付けができた可能性があったと考えてしまいます。最安値にはせず、少し高い状態で様子を見る前提での設定です」と説明する。
 それから「6万5000円の家賃で入居する人が何を求めているのか」を考えてリフォーム内容を決めた。リフォームをしようと思えば際限なく資金を投入することはできる。だが、賃貸経営はそれでは成り立たない。
 和室を洋室にし、ポータルサイトの検索ワードとしてチェックが入りやすい温水洗浄便座や、テレビモニター付きインターホンに交換することを念頭に置いた。

家主も知識武装が必要 情報交換の大切さを痛感

 しかし、リフォーム依頼でも一悶着(ひともんちゃく)あった。4月の購入直後、リフォーム会社に見積もりを依頼するも、のらりくらりとかわされて一向に出てこない。ようやく8月になって出てきた金額は1200万円。「家賃収入もなく完全に『ゆでガエル』状態なのを知っての提示でしょう」と振り返る冨田オーナー。不要と思える項目を削除し、ようやくリフォームに取りかかってもらうことができた。そしてリフォーム完了からおよそ3カ月、満室まであと一室となった。
 1棟目での苦い経験があり、それから改めて不動産投資を学び直した。同時に、同じ志を持つ家主同士が勉強し合うことができる家主の会を主宰しようと思い立ち、「あけぼの会2・0」を発足した。
「今は不動産投資自体よりも会の運営のほうが楽しい」と笑う冨田オーナー。「会社や親戚付き合い以外で何でも話せる仲間をつくれたのは不動産のおかげ」だという。

 

 

冨田健太郎オーナー(53)
(東京都八王子市)

 

苦労が多かったが現在も所有し続けている川口市の物件

 

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