My賃貸経営スタイル:地域が活性化する賃貸住宅

賃貸経営リフォーム・リノベーション

多世代の交流を育み 地域が活性化する賃貸住宅を運営

「さいたま市浦和区は『文教都市』として知られており、才能あふれる人が多い。住民同士がつながることができれば、新しい地域社会が生まれて、まちが活性化する。そうした役割を果たせる賃貸住宅を造りたい」

 そう話すのは、さいたま市浦和区に立つ賃貸マンション「コミューンときわ」を所有する船本義之オーナー(さいたま市)。同マンションは全55戸で、19戸がファミリータイプ、残りが2人住まいもしくは単身者向けだ。「単一の年齢層ではなく、現実社会に近い多世代の構成にしました」(船本オーナー)

▲コミューンときわの中庭風景

船本義之オーナー(69)(さいたま市)

  多世代が緩やかにつながることができるように、建物をロの字形に配置。中央の中庭は入居者が多目的に使用することができる。ほかにも「スタジオ」と呼ぶ入居者用集会室や、家庭菜園を楽しめる屋上庭園も設けた。さらに1階のテナントにはカフェ「マーブルテラス」が入居し、入居者と地域住民との交流の場になっている。カフェを運営するのは地元のNPO法人クッキープロジェクト(さいたま市)だ。

 それに加えて、マンション内にはコミュニティーマネジャーの女性スタッフが常駐。普段の生活から、入居者がイベントを企画する際のサポートまでを担う。

「入居者が自主運営する映画の上映会や体操教室など、私が把握していないイベントも多いです。入居者の中には、子どもが成長して部屋が手狭になり、近所の分譲マンションに引っ越した人もいますが、引っ越した後もマンション内のイベントに参加してくれています」(船本オーナー)

 現在は満室だが、竣工した2020年1月は新型コロナウイルスが流行し始めた時期と重なって、半年間は数戸しか埋まっていなかった。21年春ごろには満室となり、22年に外国人の新規入国制限が見直されると、サウジアラビアや台湾、南アフリカ共和国の出身者も加わり、多彩な顔触れが入居している。

夢を持つ人同士をつなげるシェアハウスをオープン

▲コミューン浦和領家の和風タイプの個室

 23年4月、船本オーナーは北浦和にシェアハウス「コミューン浦和領家」をオープンした。築33年の和風の木造2階建てで、趣のある庭が特徴だ。「実は長年、夢を持つ若者世代を支援するためのシェアハウスを運営したいと思っていました」と船本オーナーは話す。

 同物件は22年10月に購入。2世帯住宅だったところを全6室とし、床材や壁材を新調して、シャワールームなど水回りを新設した。購入とリノベーションの費用を合わせて8000万円かかったという。

「庭に梅の木があり、梅の実がなった6月に梅酒を作りました。飲み頃の12月に入居者たちと味わいました」と船本オーナーは笑顔で話す。

(2024年2月号掲載)

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