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自然素材を使ったぬくもりのある空間で産後ケアや子育て支援を行う 産前産後ケア助産院はるかぜ(東京都武蔵野市)
一般社団法人はるかぜ(東京都武蔵野市)
赤枝俊代表理事
吉祥寺駅から徒歩5分。RC造4階建てのビルの3階に「産前産後ケア助産院はるかぜ」がある。無垢材を使用したぬくもりのある空間で、生後7カ月未満の子と母親を対象に子育て支援を行っている。
産後ケア施設とは医師、助産師、保育士らに赤ちゃんを預けて母親が休息するための施設で、母親の心身のケアや育児相談なども行う。同院を設立したのは、産婦人科医で一般社団法人はるかぜ(東京都武蔵野市)の赤枝俊代表理事。「大学病院に勤務していた頃、同僚の産婦人科医が産後の疲れ切った体で手術をする様子や、産後うつで精神科に通った知人を見て、産後ケア施設の必要性を痛感しました」と設立の経緯を語る。
武蔵野市は子育て世代が多く暮らす街でありながら、産後ケア施設がなかったことから、赤枝代表理事は物件探しを始めた。自身のクリニックも併設のため、隣接する2室の確保が条件だった。予算内で路面の物件も見つかったが、赤ちゃんの泣き声対策を求められ、断念。最終的に決定したこの物件は、3階にあり賃料が比較的安く、オーナーから産後ケア施設の意義に賛同を得られたことが決め手となった。
▲赤ちゃんを預かるスペース
赤ちゃんの気配を感じながらゆっくり休息できる空間
オフィスだった2室(計130㎡)をリノベした。母親の仮眠用にベッドを置くことを想定していたが、天井が約2・3mとやや低く圧迫感が出るうえ、ベッドには赤ちゃんの転落防止用の柵が必要になる。そこで、床に布団を敷くスタイルに。
そして、母子ともに無垢の床に素足でくつろいでもらいたいと考え、自然素材を使った建物づくりを専門とする天然住宅(東京都文京区)に改修を依頼した。床や建具は無垢の国産材のスギに蜜みつ蝋ろうワックスを塗り、壁は消臭・調湿性に優れた薩摩中霧島壁を使用。シックハウス症候群やアレルギーに配慮し、化学物質が含まれる接着剤は不使用とした。赤ちゃんを預かるスペースと母親が休息するスペースを緩やかに区切り、子どもの気配を感じながらリラックスできるように間取りを工夫した。
工事費は2280万円で、440万円をクラウドファンディングで集め、残りは銀行融資を受けたという。「2023年10月にオープンし、SNSを活用して利用者を募っています。産後ケア施設の認知度はまだ低く、全妊産婦の6〜7%しか利用していません。産後の孤独感によるうつや子への虐待を防ぐためにも、武蔵野市や近隣の市区と提携して利用者を伸ばし、将来的に拠点を増やしていきたいです」(赤枝代表理事)
▲母親が休息する個室スペース。カーテンで仕切る
(2024年6月号掲載)
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