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入居者、家主、ペット 三方よしのドッグラン設置
賃貸住宅に住んでいてもペットを飼いたいという人は多いが、ペット共生可の賃貸物件はそれほど多くはない。そうした中、築古の賃貸物件をペットと入居者が快適に暮らせるようにリノベーションしたのが、住まいLOVE(ラブ)管理(愛知県豊川市)だ。
住まいLOVE管理(愛知県豊川市)
右:代表取締役社長:水野和也氏
中央:広報部長:ラブくん
左:取締役副社長:磯部由香氏
浜松市は、同市公表の資料によれば2018年度末時点での全国の政令指定都市における千世帯あたりの犬の登録頭数が最多となっている。「浜松市に出店する際、ペットを飼っている人が多い同市だからこそ、賃貸オーナーに対してペットと快適に暮らせる物件にリノベするという提案をすれば、他社との差別化ができると考えました」と同社の水野和也代表取締役社長は話す。
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▲ペットのストレスも軽減する専用庭のある賃貸物件は、ペットを家族のように大切にする入居者から好評
このとき、付加価値アップを目指すために同社が注目したのは専用庭。専用庭は1階の部屋の付加価値になる半面、手入れを負担に感じたり、物置代わりとして使われていたりすることが多かった。
「それではせっかくの専用庭がもったいないと 〝わんこも人も楽しいおうち〟をコンセプトに、当社スタッフで人工芝を敷き、専用庭をドッグランに改修しました」と話すのは同社の磯部由香取締役副社長だ。
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▲肉球柄のクロスを採用したリノベ後の明るい室内
室内では、フローリングよりも滑りにくいクッションフロアを採用。さらに愛犬が庭と室内を自由に行き来できるようにすることで、愛犬も飼い主も楽しめる空間をつくり上げた。
ただ、愛犬家だけにニーズのある設備はあえて考えなかったという。犬を飼っていない人でも、快適に暮らせる空間づくりを意識しているからだ。「入居者がどんな物件があったらうれしいのかを考え、それを実現する方法をオーナーに提案することが大切だと思っています」(磯部取締役副社長)
20~30㎡の専用庭にドッグランをつくる場合の費用は15万~30万円ほど。工事期間は1~5日程度だ。これまで、もともとペット可だった物件の専用庭を、退去があったタイミングに合わせて10件ほどドッグランに変更した。結果として、家賃を10~20%上げることができた。
実際にリノベを施した部屋は、SNSで情報を発信するとすぐに20代の愛犬家らから反応があり、情報発信後1~2日で成約につながったという。コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスに優れたリノベといえるだろう。
さらに「ペット可物件は、オーナーにとって原状回復時のセーフティーネットにもなります」と水野代表取締役社長は話す。多くの場合、原状回復の費用はオーナーが負担するが、「家族(ペット)が故意に傷つけた」ということで、クロスや床材の原状回復費を請求できる可能性があるという。また、愛犬家はそれぞれコミュニティーを持っており、ペット可の賃貸住宅を探している人の紹介につながる点もメリットといえる。
「ペット可賃貸物件というだけでなく、当社独自のリノベスタイルを追求することが、新築物件にも負けない魅力につながると思っています」(水野代表取締役社長)
現在、同社では浜松本店の移転を予定している。新しい店舗ではドッグランとイベントスペースを設置するほか、スタッフが愛犬と一緒に出勤できるように計画中。〝ペットフレンドリーオフィス〟を前面に押し出していく意向だ。
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広報兼モデルとして活躍
もともとは入居者が飼っていたラブくんとひなちゃんだが、事情により飼えなくなったため磯部取締役副社長が引き取り、今ではスタッフみんなで育てている。入居者募集時には、2頭が部屋を紹介する動画を同社のSNSに掲載。ドッグランにリノベした部屋も、その動画が成約につながったという。広報兼モデルとして活躍する2頭は、同社にとってなくてはならない存在だ。
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▲上がラブくん、下が広報部副部長のひなちゃん
(2024年6月号掲載)