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魚屋を複合施設にリノベ
家づくりのショールームとして活用
HOUSE YUIGAHAMA(ハウスユイガハマ)
まちづくりに携わるエンジョイワークス
渡部氏
JR横須賀線鎌倉駅から徒歩10分の場所にある、鎌倉由比ガ浜商店街。この商店街にカフェと設計事務所、ワーキングスペースが入った複合施設「HOUSE YUIGAHAMA(ハウスユイガハマ 以下、ハウスユイガハマ)」がある。2014年4月にオープンしたこの施設は、元々魚屋「魚文」だった。
▲リノベ後のハウスユイガハマ。「カフェを通じて、家づくりのヒントを発見してほしい」というコンセプトから名付けられた
閉店した店舗の活用方法を模索していた元魚屋の店主が、同じ商店街にある米屋の店主を通して、エンジョイワークス(神奈川県鎌倉市)に不動産の活用の相談を持ちかけた。エンジョイワークスは建物を建てるだけでなく、その後のまちづくりにも携わる不動産会社だ。会社ぐるみで地域に溶け込んでいった結果、まちづくりを任せられると認識され、地元住民から不動産活用について相談を受けるようになっていた。
魚文から相談を受けた際、同社は、同地区に設計事務所の設立を考えていた。そこで魚文の店舗を、その設計事務所のショールームとして活用することにした。
魚文のある商店街は、観光客や地域住民の人通りが絶えないエリアだ。その人通りの多さを生かすことができるよう、シャッターのあった部分は、建物の中を見通せるように全面ガラス張りにした。ガラスの前にはベンチとテーブルを設置し、店外と店内の境界線を曖昧にしたことで、空間がつながっているかのような印象を与えている。
▲(After)正面をガラス張りにして、入りやすい空間にリノベした
▲(Before)事務所兼魚屋だった空間は約23坪。間口が8mあった
施設のコンセプトは「家づくりと湘南暮らしに関する発見」。施設内には建物や生活に関するライブラリースペースを併設した。同社に家づくりの相談をするときは、ここで建築やライフスタイルの書籍も参考にすることができる。
また、内装には多様な建材を使用して、利用者が家づくりのヒントを得られるように作り込んでいる。利用されている建材に値札が付いており、実際に見て、触れることができる。壁や床などのインテリアの施工例が、値段まで具体的に分かる、ショールームとしての役割を果たす。
▲使用されている建材には、値札が付けられている
▲トイレには、魚屋時代の冷蔵庫と冷凍庫のステンレスの名残がある
エンジョイワークス社長室PR・ブランディング担当の渡部辰徳氏は「家づくりをするときに、使用したい建材の値段が分かりにくいという話をよく聞きます。家づくりを自分ごととして考えてもらうためにも、値札を付けて興味が持てるようにしました。実際に家づくりの参考にした人は多いのではないかと思います」と話す。渡部氏自身も、自宅を建てた際に、設置されている棚を参考にしたという。
カフェやワーキングスペースを利用したことが引き金となり、自宅のリフォームや新築を考える、そんなきっかけづくりにも役立つ場所なのだ。
▲カフェの販売スペース。壁は、さまざまな建材を使って仕上げられている
(2024年7月号掲載)
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