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- 実践! 築古物件リノベ:建材と省エネ化で付加価値アップ
こだわりの建材と省エネ化で付加価値アップ
6.2畳の土間スペース
築古物件をリノベーションすることで「所有不動産の価値最大化」を図っているのがNENGO(ネンゴ:川崎市)だ。東急電鉄田園都市線二子新地駅から徒歩9分の「バロンハイツ二子玉川苑」は築39年。その1室を同社が再生した。
NENGO(川崎市)
街つくり事業部 開発グループ 濱口智明マネージャー

今回のリノベの特徴は三つ。一つ目はモルタル床仕上げの土間だ。以前は、壁で土間と廊下が分かれていたが、その壁を取り払い、6・2畳の広々とした空間にした。それにより、仕事にも趣味にも対応できるスペースとなった。なお、この土間だけはDIYも可能だという。

▲入居者が作業場兼来客対応スペースとして使っているという土間スペース
二つ目の特徴は、使用する建材にこだわったこと。特に畳は、同物件近くの歴史ある畳店に制作を依頼した。古くから街道として栄えてきた街の歴史を取り入れるという意味が込められている。またフローリングは無垢材、LDKの壁と天井には自然な風合いが特徴の塗料「ポーターズペイント」を使用。服飾関係の仕事をしている入居者からは「撮影にも使えそうな内装が気に入った」と好評を得ている。

▲︎(左・After)壁と天井には塗料は経年変化も楽しめる塗料を使用
▲︎(右・Before)リノベ前のLDKと和室
断熱性能も高める
三つ目の特徴は、断熱性を高めた点だ。窓にペアガラスと二重窓を設置するほか、壁の中の断熱改修工事も行っている。これにより、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)に相当する断熱・省エネルギー性能を実現。募集時には入居者に光熱費削減をアピールすることができた。
一方で、リノベ費用のアップにつながりやすい間取りの変更はほとんどしていない。コストをかける部分と抑える部分のメリハリをつけることで、家賃をリノベ前の11万円から14万円に上げることができた。
「賃貸にするか分譲にするかというのを性能とは別で選べるようになってほしいと思い、今回リノベを企画しました」と街つくり事業部 開発グループの濱口智明マネージャーは語る。

▲間取り図 ※オレンジの線は、リノベ前にあった壁と引き戸
(2024年7月号掲載)