サイディングの種類と張り替え時期 

賃貸経営リフォーム・リノベーション

日本の外壁施工において、板を壁に張り付ける「サイディング」という工法が一般的です。

今回は、施工業者にサイディングの種類や特徴について、「家主と地主」編集部がまとめました。

サイディング

現在、主流の工法で、新築住居の7割が外壁をサイディング処理しています。

以前はモルタルや漆喰などの左官材を壁に塗って仕上げる湿式工法が主でした。サイディングは工場で生産されたサイディング板を、そのまま壁に取り付けることで施工が完了する乾式工法。以下の点で優れていると言われています。

  • 工期が短い
  • 施工難度が低い
  • コスト面も低く
  • 雨漏りや漏水に強い 
  • 結露が発生しにくい

サイディングの4種類

工法(素材の系統) 塗料:素材の種類 強度 耐久性 耐光性 耐火性 耐水性 耐食性 価格 一般的な寿命 長所・短所など その他特記事項
①窒業系サイディング アクリル、ピュアアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機系、光触媒など 塗装:10~20年
ボード:15~30年
・種類、デザインが豊富
・塗料の選択肢が広く、それぞれの特性によって幅広い用途に対応可能
・サイディングボード自体の耐水性は低め(塗装により耐水性を付与)
②金属系サイディング 亜鉛めっき鋼板(スチール鋼板)、アルミニウム合金版、ステンレス合板、ガルバリウム合板、SGL、鋼版など × 20~30年 ・軽い
・強度が高い
・メンテナンス性に優れる
③樹脂系サイディング 塩化ビニール樹脂、シリコーン樹脂など 20~30年 ・非常に軽い
・寿命が長くメンテナンス性に優れる
・防音性は劣る
④木製サイディング 木材・鋼版 × 15~20年 ・木材特有のデザイン性
・熱や高温にっは強いが火に弱い
・耐水素材を塗布しているものもある

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サイディング板は、素材によって以下の4種類に分けられます。

  • 窯業系
  • 金属系
  • 樹脂系
  • 木製

それぞれ特性が違いますから、新築時、リフォーム時に選ぶ際は、環境や立地、予算、オーナーの好みによって使い分けることが重要です。

窒業(ようぎょう)系サイディング

セメントに繊維を混入して柔らかさを持たせた板で、サイディングの約70%に用いられています。

窯業系は以下の面で優れています。

  • 耐火性 
  • 耐熱性
  • コスト面

デザインの多彩さも特徴で、さまざまな色や柄から選ぶことが可能です。

塗装に用いる塗材にも多種多様なものがあり、使用状況や予算に合わせて幅広い選択肢があります。光触媒を含む塗材もあり、太陽光に反応し、汚れを分解する機能を持ちます。耐久性に優れ寿命が非常に長いですが、コストは高めです。

金属系サイディング

薄い鋼版に断熱材を貼ったり、挟み込んだりして仕上げたサィディング板です。

金属系は以下の面で優れています。

  • 軽い
  • メンテナンス性が高い
  • 耐久性
  • 耐候性(日光や雨などの天候に対する耐久性のこと)

金属系は、耐食性に難があり、傷からメッキがはがれ鋼板が露出してそこから錆が発生することがあります。しかし近年では、耐食性の欠点を克服した商品も開発されています。

「ガルバリウム鋼板」という合金めっきを表面に施した鋼板があり、サイディングには0.3~0.5mm程度の薄いものが用いられます。寿命が長く、強度があり、軽いのが特長です。最近は、耐食性を高めた改良型のSGL鋼板も登場しています。

樹脂系サイディング

塩化ビニール樹脂やシリコーン樹脂などを用いた板のことです。樹脂系は以下の面で優れています。

  • 軽い
  • 寿命が長い

コストは高いですが、寿命が長いため寒冷地などで使用されています。

木製サイディング

木材を用いた板のことで、以下の面で優れています。

  • 木の質感

木製のため、耐久性や耐火性、メンテナンス性といった性能面では、ほかの種類には劣りますが、木の質感という代替しがたい特性を持ちます。

サィディングの施工方法

張り方

まず家の外側に防水用の透湿防水シートを張り付けます。透湿防水シートは、雨水の侵入を防ぎ、湿気を外に出して結露を防ぎます。そのシートの上に木製の板を渡して下地を作り、さらにその上に外壁材であるサィディング板を張り付けていきます。

張り替え時期の目安と劣化のサインとは

サィディング板は、経年劣化によって痛み、再塗装やサイディング板自体の張り替えが必要になります。

環境によって変わるので一概に断言できませんが、一般的なサイディングの寿命は、窯業系であれば15~20年、金属系は20~30年程度。塗装については、窯業系の場合10~15年ぐらいで塗り替えが必要になります。

塗装の傷みについては、明確な判断基準があり、サイディング板に手でふれたとき、指先に粉のようなものがつくようになったら塗装の塗り替えのサインです。

この状態は、チョーキングと呼ばれ、紫外線による塗材の劣化が原因です。

また、金属系のサイディングは、傷が付いたりへこんだりして塗材が剥がれると、その部分がさびやすくなります。寿命が極端に短くなりますから、すみやかにリフォーム業者に相談したいところです。

サイディングで傷みやすいシーリングとは

もっとも早く劣化が進むのが、シーリングを施した部分です。サイディング板同士の隙間は、シーリング剤という薬剤を埋めるのですが、この部分が一番早く痛んできます。

 

シーリングはコーキングとも呼ばれ、樹脂系の薬剤なので劣化すると、切れて垂れ下ったり、硬化により剥離したりします。早ければ4~5年で劣化します。

シーリング材が痛むとそこに隙間ができ、そこに雨水がサイディング板の内側に入り込む可能性があります。冬場に凍って体積が増え、板を内側から押すため、板が浮き上がったり、沿ってしまう原因にもなります。

そのためシーリング部分の痛みには普段からチェックしておき、劣化の兆候が現れたら速やかに補修する必要があります。

外壁の寿命に関わるシーリングの工法

シーリングは、その工法もサイディング板の寿命に関係してきます。

シーリングの目地(溝の部分)の奥、下地の部分まで接着することを3面接着、板同士だけを接着することを2面接着と呼びます。3面接着は揺れに弱く、地震があると切れてしまうことがあります。一方で、2面接着は背面に水が回りやすいため、漏水に弱い。これも家の構造や環境で使い分ける必要があります。

外壁塗装時のトラブル

外壁塗装の際に一番多いトラブルは、施工中に窓が開けられないことや、塗料の臭いについてのクレームといった、生活面に影響がある部分です。 

そのため、住人へ施工期間を伝え、協力の要請をしっかりあおぐ必要があります。

また、オーナーからの苦情として多いのが、色や柄についてです。人の知覚の問題で、色見本のサンプルの色と現物を比較したとき、現物のほうが必ず薄く見えるのです。このことは事前に踏まえておいたほうがいいでしょう。

まとめ

サイデイングには、窯業系、金属系、樹脂系、木製サイディングがあります。

新築住宅の7割が使用するサイディングには、湿式工法と比較して、工期が短い、施工難度が低い、コスト面が低い、雨漏りや漏水に強い、通気ができる構造のため結露は発生しにくいなどの利点があります。

ただし、当然ですが経年による劣化があり、塗装の塗り替え、サイディング板の張り替え、シーリングの補修が生じます。

サイディング板もシーリングも改良が進み、性能が向上して寿命が長いものが出てきているため、新築やリフォーム時には、できる限りその時点での選べる最新、最良の商品を選ぶといいでしょう。その後のメンテナンスの費用を考えれば、結果的に費用が掛からないということになります。

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