不動産の取引、維持管理には多額の資金が必要となります。そのため銀行との交渉を避けて通ることはできません。
新たに融資を受けたり、借り換えや金利に関する交渉をしたりなどが考えられます。
メインバンク以外とも付き合う
銀行や支店の業況、方針などによって、不動産投資に対する融資に前向きか否か、対応には大きな差異があります。
そのため、これまでのメインバンクが、次回も融資をしてくれるとは限りません。また新規の融資には以前より高い金利を求められるかもしれません。
メインバンクとの交渉が折り合わなかったときのために、別の選択肢(BATNA:バトナ)を用意してください。
BATNAを用意せずに金融機関との交渉に臨むと、相手の言い値での取引を強いられるという非常に不利な立場に置かれてしまいます。
この場合、メインバンク以外の金融機関との取引がBATNAになります。平時からいろいろな金融機関の担当者と情報交換をしておくこと。そして、こちらの資産背景や投資経験がわかるような資料を渡して、新規の融資にすぐに対応してもらえるよう準備しておくべきです。
なお、いちげんの客に冷たい金融機関が多いため、できる限り友人・知人のつてを使って、紹介してもらったうえで打ち合わせをしてください。
金融機関の「利益」を聞き取る
低額であれば、支店長が決裁権限を持っている場合もあります。しかし、一定の金額以上の融資を受けるためには、金融機関の担当者やその上席だけでなく、審査部門の審査を通過させる必要があります。
そのため、実際の交渉においては、銀行の担当者に対して、「どうすれば、より審査に通りやすくなりますか」などと相手(審査部門)の関心事を探ってみましょう。そのうえで預金額を増やせば良いのか、保険に加入すれば良いのかなど、相手の要求を満たす方策はないか担当者と一緒に検討するといいでしょう。
融資の審査を通しやすくできないか、思い付く限りの方法を考えてください。
このように、金融機関と交渉する前にBATNAを用意する。そして、交渉中に金融機関のニーズを掘り起こし、双方にとって有益な選択肢がないか検討することが重要です。
今月の一言
複数の金融機関と情報交換する
審査に通るため相手のニーズを探る
弁護士法人隼綜合法律事務所
加藤幸英弁護士(50)
プロフィール
28歳で父から5棟(100戸)の収益物件を相続し、その後38歳で弁護士となる。不動産オーナーからの弁護依頼の実績多数。ユーチューブチャンネル「弁護士かとう」(2023年4月でのチャンネル登録者数は1万8500人)を運営し、賃貸経営に役立つ情報などを発信している。