Part4 廊下・階段 たわみ、さび発生に注意
廊下・階段に使用される長尺シートの劣化は目視でも確認できるので、しっかりチェックを。普段使うことがない避難用階段の劣化も見落とさないようにしたい。
長尺シートのたわみは劣化のサイン
▲浮き上がった長尺シート(写真提供/マツミ)
日頃から住人が行き交う廊下・階段についても、劣化を見落とすわけにはいかない。
廊下・階段部分には長尺シートが用いられる。劣化防止はもちろん、雨漏り予防や防音、美観向上や滑り止めといった役割もある。
物件の環境にもよるが、5年以上がたつと、長尺シートの接着力が落ちてきて、シートと床の間に隙間ができる。そこから入った雨水が冬場に凍って隙間を増やしていくことで、結果的にシートがたわんでしまうのだ。また、シートは隅の方よりも真ん中の部分が人に多く踏まれる。この部分の汚れが落ちにくくなることも、劣化の目印だ。専門家でなくても目視で確認できるので、小まめにチェックしておきたい。
長尺シートの貼り替えの目安は10年程度だといわれる。新しいものに貼り替えることで、見た目も良くなり、改めて雨漏り予防や防音の効果が期待できる。また、照明や人感センサーの交換を併せて検討してみるのもいいだろう。
階段においては、手すりの状態の把握も大切だ。
▲劣化した階段(写真提供/マンション計画修繕施工協会)
築年数が古い物件の手すりだと、鉄の部分がさびて、人が寄りかかるだけで折れてしまうことがある。手すりがさびて折れていると、住人にとっても非常に危険であるため、こういった箇所があれば、優先的にメンテナンスをしておきたい。
塗装で対応する場合は、さびを落としてから新たに塗装すること。また、さびに強いアルミニウム製の手すりに交換する方法もある。
普段使わない避難用階段も要チェック
避難用階段にも注意しておきたい。鉄でできているうえに、普段は人が通らないので、さびがあっても気付きにくいからだ。万が一、避難しなければならないことが起こった際に、劣化で避難用階段が使えないようでは命にも関わる。
それに加えて、見落としがちなのが各居室の玄関のひさし。専有部ではなく共用部なので、廊下と同様に定期的に点検しておいたほうがいい。
(2024年8月号掲載)
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