借り上げ解除損害認定でオーナー勝訴 賃貸借契約の「信頼関係」争点

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■注目の裁判の行く方

 レオパレス21(以下、レオパレス:東京都中野区)の借り上げ契約解除を巡る裁判。一方的な契約解除は不当であるとして、同社に対し損害賠償を請求していたオーナー側の主張が2023年10月13日に認められ、オーナーの勝訴が確定した。裁判では、賃貸借契約を継続する「信頼関係」が破壊されていたかどうかが争点となった。

 06年に、レオパレスとの間で建物賃貸借契約(マスターリース契約)を締結した前田和彦オーナー(名古屋市)。前田オーナーは、レオパレスの管理物件のオーナーらで組織されるLPオーナー会(同)で代表理事を務め、レオパレスに対する批判的な意見を主張する同会の活動を陣頭指揮。これにより、レオパレスは信頼関係が破壊されたとして、建物賃貸借契約の終了を申し出た。前田オーナーは、レオパレスの一方的な申し出は不当とし、同社を訴えた。

 

オーナーとサブリース会社、対等な立場で

 一審の名古屋地裁は、建物賃貸借契約解除は正当な理由として、レオパレス側の主張を認定。だが、二審の名古屋高裁では逆転し、オーナーが勝訴。レオパレスは最高裁に上告したが棄却され、レオパレスに損害賠償金2730万円の支払いを命じる判決が確定した。

 争点は賃貸借契約を継続する信頼関係が破壊されていたかどうかだった。名古屋高裁では、この「信頼関係の破壊」について、賃借人から見た賃貸人との信頼関係とは、「賃借人の使用収益を妨害しないことに尽きる」と判断。LPオーナー会の活動は、賃借人が物件を使用すること自体に影響を及ぼすものではなく、信頼関係が破壊されていたとはいえないとした。

 前田オーナーの訴訟代理人を務めた安藤・澁谷法律事務所(同)の澁谷歩弁護士は「サブリース会社側の一方的な解除を制限するもので、今後オーナーとサブリース会社が対等な関係を築いていくことに資する判断だった」とコメントしている。

二審で逆転しオーナーが勝訴。借り上げ契約を継続するための「信頼関係」が争点となった

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