旧耐震物件を補強し再生、専門サイトで流通促進
キーマン
構造物の耐震診断、補強工事に特化して事業を展開するキーマン(大阪府東大阪市)は、旧耐震物件専門の不動産情報サイト「1981+(プラス)」を運営する。物件に必要な耐震工事を施し、安全性を高めた上で流通を促進する狙いだ。リノベーションも手がけながら築古不動産の競争力を高める。
キーマン(大阪府東大阪市)
片山寿夫社長(55)

必要な補強の費用算出 設計・施工の一貫体制
キーマンでは、東京支社で1981+を運営している。補強工事を加えることで長期使用が見込める旧耐震基準の物件情報を配信しながら、付加価値を高めるリノベ工事も提案。1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心とした全国の物件を対象に取り組み、旧耐震不動産市場の活性化を図る。
同サイトでは、オーナーや不動産会社から掲載物件を募集している。掲載プランは二つ。「プレミアムプラン」の会員は、物件情報に加え、建物の補強に必要な費用を算出するサービスと、物件周辺の環境調査サービスを利用することができる。同社が買い手に詳細な情報を届けつつ、物件の魅力を発信する記事の作成も行う。サービス利用料は55万円(税込み)から。
「ライトプラン」は物件情報の掲載は無料。物件記事作成のオプションを選択した場合のみ料金が発生する。いずれのプランも物件掲載時の費用はかからず、成約した際にサービスの利用料や、買い手側から物件価格に応じた報酬を受け取る。掲載対象物件は木造以外の一棟ビルやマンションとする。
専門家チームを組成 収益性高めて再稼働

▲リニューアルして運営するREDO神保町
旧耐震基準建築物の再生・運用事業にも取り組む。オフィスビルや古民家など幅広い不動産を対象にしており、耐震診断から構造設計、デザイン提案および施工、施工後の運用までを包括的に手がけるプロジェクトチームを組成。各分野の専門家と協業し、歴史のある建物に付加価値を与えて再生している。
これまでの再生事例は3件ある。そのうちの1件が、都営地下鉄新宿線神保町駅から3分の場所に立つ「REDO(リド)神保町」だ。RC造5階建てのオフィスビルとして74年に竣工。1階が貸事務所、4~5階をオーナーが使用していたが、2~3階は空室だったことから収益性が低かった。
この物件を2019年に取得し、耐震補強工事を実施。内装も一新し、1階を店舗、2階をコワーキングスペース、3階から5階を全9戸のシェアハウスとして貸し出すことで収益性を高めた。
総工費は1億円程度かかったが、改修後の賃料収入として年間1800万円、工費の回収期間は約5年を見込んでいる。片山寿夫社長は「古い建物ならではの特徴を生かしたリノベと組み合わせることで、新築にはない魅力を引き出すことができる」と話す。
(2025年 5月号掲載)
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